上場しなくてもいい。地域VCが描く新しいビジネスモデルとは?
「教えて瀬戸内VC」瀬戸内VCのゴールとは?
■エクイティで作る良い関係性とは 藤田:退任されてからの2年はどうされていましたか? 松本:いわゆるエクイティにおいて、株主と経営者、それ以外のステークホルダーとの関係をもっといい形にできるんじゃないかと考えていました。その会社の内容に関わらず短期的に株価さえ上がればいいと考える株主と、会社を永続的に成長させたいと思っている経営者、それ以外のステークホルダーでズレがあると思ったからです。 今、未上場の会社はスタートアップも含めて種類株式を使っています。種類株式で、特定株主に対して権利を与える代わりに、企業価値向上を手伝ってもらう関係性をつくれていると思います。もっと言えば、株主が議決権を持たなくてもその会社も儲かるし、利益が出たら株主の配当が増える関係性を作れたら、別に議決権を持っていなくても支援すると思うんです。 株式のもつ財産分配の権利と議決権をもっとうまく設計することで、よりWin-Winな関係を作れないかずっと考えています。 また、何百万社とある会社の中で上場企業は6000社ほど。そうした上場会社や投資を受けた会社は、企業価値や株価をあげようと思っていますが、それ以外の未上場会社は、節税対策として企業価値をあげないようにしている。利益を上げることや、企業価値を上げることのインセンティブが極めて少ないということ自体がおかしくないでしょうか? それで日本経済が良くなるわけがないし、誰もハッピーにならないんです。Win-Winな関係を作るツールがエクイティだと思っています。 ■教えて瀬戸内VC! 何をゴールとするのか 松本:お二人に聞きたいのは「瀬戸内VCのゴールとは?」です。 先日の藤田豪さん(MTG Ventures代表取締役)の回で、瀬戸内VCを辞められるのであれば明日にでも辞めたいとお話しされていました。なので、どんな状態になれば辞められるのかを聞きたいと言う背景です。 山田:「資本主義」のなかでもっと遊びが生まれるように、をテーマにやっています。 僕らがやっていることは、本来だったらやらなくても良いことなんです。でも、僕らがやれるのをみて、チャレンジする人や、フルコミットではなく事業のひとつとして選択する人が出てくると思います。それによって生まれるサービスや伸びるサービスがあるかもしれないことが大事。 今回はVCが一番センセーショナルで、なかなか打てない打ち手だったと思います。ですが、株式会社とVCが同時にお金を集めて、社会性が高いものと経済性が高いものをブレンドしてみても良いかもしれません。そうした発見ができていく状態がゴールかなと思っています。 藤田:次の瀬戸内VCが生まれることがゴールです。 まだ僕らが今やっていることに価値があると思っていますが、地域にスタートアップが増えてきたり、誰かがやってくれたりするのであれば、自分たちでやる意味がない。おそらく、僕らよりもうまくやれる人はいるので、同じようなコンセプトでやる人たちが生まれれば願ったり叶ったりです。 そして、起業家が瀬戸内に増えたらゴールです。 従来のベンチャーキャピタルのビジネスモデルでは、出資者の本当のニーズを叶えることは難しかったのかもしれない。また、そうした過去から続いてきた形への問い直しの目線は、エクイティのあり方にも向けられていた。価値があり求められていることが何か、もっと良い形にできることはないかという問いを持ち続けることが、これからのビジネスにおいて求められていくことなのだろう。
Setouchi Startup Flag(セトフラ)