2025年にバチカン「聖年」開催で、ローマの短期宿泊賃貸(民泊)が急増、家賃高騰で市民は中心部から郊外へ
カトリック教会の総本山バチカン市国では、2025年に25年に一度しか訪れない「聖年」が開催される。それに合わせてローマには約3200万人が訪れると予想されているなか、観光客向けにアパートの短期宿泊賃貸(Short Term Rental/STR、いわゆる民泊)が過去1年で2倍に増加したと推計されており、長期賃貸市場での供給が逼迫するとの心配の声が上がっている。 長期賃貸市場の月額賃貸料は過去1年間で30%以上、上昇。賃貸コンサルティング会社によると、ローマ中心部の多くの地区にある小さなワンルームマンションの家賃は、少なくとも900ユーロ (約14.2万円) にまで値上がりし、1ベッドルームは最低でも1200ユーロ (約19万円)、2ベッドルームは最低でも1400ユーロ(約22万円) になっているという。 ロイター通信がイタリア政府のデータから算出したところ、地元の平均給与は税引き後で月額2000ユーロ (約31.6万円) 未満であることから、家賃上昇によって多くのローマ市民が市内中心部からさらに離れた場所へ引っ越しをせざるを得なくなっている。
まもなく始まる「聖年」
聖年は12月24日のクリスマスイブに始まり、2026年1月6日まで続く。聖年中に訪れるカトリックの巡礼者は、特定の条件を満たせば、特別な免罪符を受けることができると言われている。 ローマ在住のドナテッラ・ペトリーニさんは、サン・ロレンツォに所有するアパートの1ベッドルームの長期賃貸をやめて、Airbnbへの掲載を始めた。すると、収入は2倍になったと話す。彼女は「聖年が過ぎても、長期賃貸に戻ることはないだろう」と話している。 Airbnbは、ローマでのリスティング数の増加分を明らかにしていないが、賃貸コンサルティング会社は、今年少なくとも2万件のAirbnb物件が追加されたと推定している。地元紙の「コリエレ・デラ・セラ」は、人口約275万人のローマ市内には現在約4万件のAirbnb物件があると報じた。 ローマでは今年10月、警察の特別対策チームが、市内で賃貸に出されているSTR物件の約3000件を調査。規制に違反していた約1100件に罰金を科したと発表した。 イタリア観光省は今年9月、国内のすべてのSTR物件に対し、賃貸物件の新しい全国データベースへの登録の義務化を始めた。Airbnbはロイター通信に対して、新規則が発効する2025年以降は、登録のない物件は受け付けないと伝えた。 ※ユーロ円換算は1ユーロ158円でトラベルボイス編集部が算出 ※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。
トラベルボイス編集部