「民間企業ですから」 JR西日本がローカル線問題で、地元の神経を“逆なで”し続けるワケ 島根県知事は「株主総会対策?」のド直球ツッコミ
沿線自治体は廃線ドミノを危惧
3路線のうち、JR西日本があり方協議に言及した区間の2022年度輸送密度(1km当たりの1日平均輸送人員)は、 ・芸備線:20~89人 ・木次線:54人 ・美祢線:377人 である。特に芸備線と木次線は沿線の急激な人口減少からJR西日本管内で一、二を争う閑散路線になった。運行本数が1日3~6往復と極めて少ないこともあり、住民の日常利用も限定的だ。 JR西日本はこれら路線に対し、「大量輸送という鉄道の特性が発揮できなくなっている」と度々主張してきた。沿線自治体は 「線区を輸送密度で判断し、暗に廃止を迫っている」(広島県の自治体関係者) と受け止めている。 中国山地では芸備、木次の両線に加え、広島県の福塩(ふくえん)線、鳥取県と岡山県を結ぶ因美線、兵庫県から内陸を通って岡山県に入る姫新(きしん)線に輸送密度200人未満の区間がある。広島県の湯崎英彦知事が5月末の記者会見で 「次々に尻尾を切っていく話につながるのでないか」 と述べたように、“廃線ドミノ”が起きることへの不安は高まる一方だ。 沿線自治体は利用者が激減した区間であっても、鉄道ネットワーク網の一部と位置づけてきた。JR西日本には公共交通としての対応を求め、大都市圏や新幹線で得た利益でローカル線を維持するよう求めている。それだけに、地元の神経を逆なでする発言の連続に 「公共交通の立場を忘れている」(広島県の自治体関係者) と指摘する声もある。 これに対し、JR西日本は「大量輸送の特性を発揮できないことについて、機会があるたびに当社の見解を主張しているだけ」とし、公共交通事業者としての立場を守っていることを強調した。 旧国鉄末期には輸送密度4000人未満の路線がバスや第三セクター転換の対象となった。JR西日本OBのひとりは 「旧国鉄時代なら廃止して当たり前の輸送密度になっても運行を継続しているのは、公共交通の担い手を意識しているからだ」 と反論する。