BYDが航続距離2100km超のPHEV発表。“マルチパスウェイ”を巡る日中の競争は激化
世界初の量産PHEVはBYDから誕生していた
2024年6月4日、中国BYDが第5世代PHEVテクノロジー「DM-i」を発表、併せてこの最新技術を採用したミッドサイズセダン「秦(Qin) L DM-i」と、その兄弟車である「Seal 06 DM-i」の国内発売を開始した。46.06%という世界最高水準の熱効率を達成し、2.9L/100kmという低燃費、2100kmを超える航続距離を実現している。現地ではガソリン車やハイブリッド車が売れ筋となっている日本メーカー車への影響は小さくないだろう。 【写真】BYDのPHEVをもっと詳しく見る 日本ではBYD=EVメーカーという印象が強いが、実は世界で初めて量産型PHEVを開発したのもBYDである。2008年1月に発表された「F3DM」は、20kWの走行用バッテリーを搭載し60マイル(約96km)を電気だけで走行することが可能とされていた。ちなみにDMは“Dual Mode”を意味している。当時は、日米欧韓の自動車メーカーがPHEVの開発に鎬を削っていたが、BYDがいち早く量産、市販にこぎ着け、これにトヨタ プリウスPHVやシボレー ボルトが続いた。 ここ数年のBYDはEVを前面に押し出していたが、PHEVの開発、販売も連綿と続き、とくに2021年に次世代型PHEVテクノロジーである「DM-i」を初採用して以降、販売台数は急増。2023年度の累計販売台数はすでに360万台を超えている。中国で販売されているPHEV車の2台に1台がBYD車となる計算だ。 そして、第5世代を迎えた「DM-i」は、ついに46.06%という世界最高水準の熱効率と2.9L/100kmという低燃費、そして2100kmという航続距離を実現した。 発表会は2024年5月28日、かつてF3DMが生産された西安で開催された。ステージに立ったBYDの王伝福会長兼社長は、「従来の自動車の3分の1の燃料消費量と3倍の航続距離を実現し、これまでにない効率を提供する。BYDは世界の市場でPHEV技術の最先端を走っている」と同社の先進性を強調した。