中日・小笠原編集長がチョイスする『大リーグ』のレジェンド、そして注目のホープとは【月刊シンノスケ】
小学生の頃に衝撃受けたスター軍団ヤンキース
◇連載企画「月刊シンノスケ」 中日の小笠原慎之介投手(26)が編集長を務める連載企画「月刊シンノスケ」。第3回は小笠原編集長が幼い頃から好きなメジャーリーグ特集。ベースボールの本場・米国の野球との出会いから小さい頃に憧れていた選手、編集長チョイスの注目の若手ホープまで…。日本の野球ファンから注目が高まっているメジャーの面白さを紹介する。 中日スポーツ読者の皆さん、おはようございます。中日ドラゴンズの小笠原慎之介です。昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での侍ジャパンの優勝、ドジャース・大谷選手ら日本人選手の活躍でメジャーリーグへの関心は高まってますよね。そこで「月刊シンノスケ」の3回目は大リーグの思い出や面白さを紹介したいと思います。 まず僕が大リーグを見始めたのは小学生の頃です。当時は松井秀喜さんが所属していたヤンキースの試合中継が多かった。ジーター、A・ロドリゲス、サバシア…。今思い出してもすごいメンバーでまさにスター軍団でしたね。NHK―BSで試合中継が始まるのは午前8時5分からがほとんど。学校に間に合うには8時15分には家を出ないといけなかったので中継を見られるのは10分だけでした。短い時間でも夢のような時間でしたね。 憧れの選手は何人もいます。自分と同じ左投げのランディ・ジョンソン(マリナーズなど)もその一人。当時の僕はリリースポイントが今よりも下で、ランディのようなスリークオーターに近かった。まねしていたわけではないですけどね。中学生の時に最初にもらったユニホームの背番号はランディと同じ「51」。選手は52人で背番号は抽選制でした。希望の番号がもう残ってなかったこともあるんですけど、そんな縁もあります。チームメートからは名前をもじって「オガンディー・ジョンソン」と呼ばれていました。 今も自分の投球で武器になっているチェンジアップ。投げ始めたのは中学2年の時でした。中学の恩師の助言で参考にしたのがメッツでノーヒッターを達成したサンタナ。オーソドックスなサウスポーで僕が投げているチェンジアップの原型です。ザンブラーノ(カブスなど)も思い入れのある選手です。投手として最多勝投手になっていますけど両打ちの打撃も圧巻。喜怒哀楽をはっきり出す気性の荒さも個人的に好きでした。 今のメジャーリーガーで注目している選手は弱冠23歳でヤンキースの正遊撃手を務めるアンソニー・ボルピ。175センチと決して体は大きくないですがルーキーだった昨季にゴールドグラブを受賞して20本塁打、20盗塁。伝統ある球団でこの成績はすごいですよね。投手で言えば最近大谷選手との対戦でも話題になったパイレーツのポール・スキーンズ。今季メジャーデビューした160キロ超え右腕は奪三振率11・85と驚異の数字を残す豪腕です。 去年のシーズンオフ、僕はポストシーズンの試合を現地で観戦しました。試合開始から終了まで現地のファンはずっと立ちっぱなし。イスに座るのはイニング間の休憩ぐらいでした。アウトを取るたび、ヒットで走者が出るたびに総立ちのスタンディングオベーション。テレビで見る1000倍以上の盛り上がりを肌で感じました。 自主トレでアメリカに行った時にはパイレーツのチャップマンと会ったのもいい思い出です。言葉を交わし、これだけ体を大きくしても人間って投げられるんだと感じました。生まれた場所ももともとの体のつくりも違うので一概には言えないことは分かっています。でもこれも正解にたどり着く一つの道。大谷選手、ダルビッシュさんのやり方も正解なんです。人それぞれのやり方があるんだとあらためて思える経験でした。 お手本にするのが日本の野球なら、「いつかやってみたい」と思える野球をやっているのが大リーグ。子どもの頃なら一塁まで投げるのにワンバウンド、ツーバウンドが当たり前なのに、それをジャンピングキャッチで一塁へノーバンスロー。純粋な野球の楽しさを教えてくれますよね。ピッチクロックの導入などで工夫もされている。僕の幼い頃みたいに短いイニングしか見られなくても、十分楽しめると思います。 (中日ドラゴンズ投手)
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