「長屋」に「共同浴場」 奥能登だからこその仮設住宅の整備 被災地のコミュニティ確保へ
木造長屋型の仮設住宅が、県内で初めて4月30日に完成しました。まとまって多くの世帯が住み続けることができる木造長屋型は、新たなまちを整備することを目的としていて、地域のコミュニティー再生を目指しています。 出村愛里さん「おはようございます。すごい街って感じ」 14日、出村さんは4か月半ぶりに故郷に戻ってきました。完成した木造長屋型の仮設住宅に地域の人と一緒に入居できるようになったのです。 出村愛里さん「入り口に洗濯機あるよ」 1DKから車椅子でも生活できる部屋、和室のある部屋など5つのタイプがそろっています。原則2年で退去しなければいけない従来の仮設住宅と違い、この木造長屋型は2年が経過した後は公営住宅に転用され、住み続けることができます。 出村愛里さん「換気扇もしっかりついとるよ。上の収納もすごいし。普通にいい家やね」「あっち(避難所)の生活も全然悪くなかったんですけど、やっぱりプライベートがない状況、カーテン越しだったので2畳ほどしかないとこにいたので、それを考えたらすごい素晴らしいですよね」 輪島市河井町にある輪島KABULET(カブーレ)。 社会福祉法人の佛子園(ぶっしえん)が経営主体となっているこの施設には、銭湯やレストランのほかデイサービスも併設されていたりと、高齢者から障害のある人まであらゆる人の交流の場となっています。 佛子園の代表を務める雄谷良成理事長は、奥能登2市2町で仮設住宅の見守り活動を行う公益社団法人青年海外協力協会の会長も務めています。 2016年に起きた熊本地震では死者は276人でしたが、そのうち災害関連死は226人にも上りました。直接死の4倍もの人が避難生活の中で命を落としました。雄谷会長は、この原因の一つが仮設住宅の入居が抽選で行われたことだと話します。 公益社団法人青年海外協力協会・雄谷良成会長「家も壊れている、親族も被災されて亡くなっているという状況があるときに、相当なストレスを受けながら隣に来た人はどういう人かわからない。まずそこの人間関係を作ることがストレスになる。今回、能登半島全域においては抽選をしないでなるべく地域を大切にしながら移していこうというということが進んできたと思うので、ここが大きな成果だと思います」