“接触”全盛の今、振り返る 80年代アイドルのストロングポイント
いまやアイドルは手の届くお姉ちゃん?
アイドルになることのできる裾野が広がったことは悪いとは言えないが、近年、接触イベントを活動の主流とするアイドルがあまりに増え、おもにファンとの距離感やセキュリティーなどの面でさまざまな問題を起こしているのは事実。 「スターっていうのは手の届く高嶺の花か、手の届かない隣のお姉ちゃんだ」とは、作詞家・阿久悠氏の名言だが、おニャン子に携わり、現在ではAKB48や坂道シリーズのプロデューサーを務める秋元康氏も過去、番組やインタビューなどでこの言葉を引用している。それが今では、アイドルによっては「手の届く隣のお姉ちゃん」化しつつある。 「接触ビジネスはまるでキャバ嬢じゃないか、との声もありますが、最近では逆にキャバクラのほうが専門メディアを活用してキャバ嬢のアイドル化を図っています。あまりに多様化してしまって、アイドルってなんだろう、っていう根幹が揺らいでいるのが現状です」と憂うのは、スポーツ紙の40代男性記者だ。 一方で、「アイドルファン全員が接触イベントを欲しているわけではない」との声もある。アイドル情報メディアの30代女性編集者は話す。 「むしろ握手会などが苦手、というファンも少なくありません。ネットでの交流でも、コメントを直接書き込むより見ているだけが楽しいんだ、というファンもいます。売り手側が、ファンは身近な接触を求めていると限定するのではなく、もっとさまざまなスタイルがあっていいのではと思います」 渡辺は10月5日に都内で開催される「80年代アイドルフェス」に、松本伊代、早見優、西村知美らと参加するという。芸能界におけるアイドルとは何なのか。必ずしも歌手とは限らないし、女優も含め、アイドルという言葉が示す範囲はどんどん広がっている感がある。ネット時代はネット時代に合わせて、新たなビジネスモデルを考えていくべき時期に差し掛かっていると言えそうだ。 (文・志和浩司)