“接触”全盛の今、振り返る 80年代アイドルのストロングポイント
元おニャン子クラブで歌手の渡辺美奈代がバースデーライブを開いたニュースが話題となっている。28日に50歳となった渡辺はミニスカート姿で美脚を披露、アラフィフながら底しれぬアイドル力を発揮しているようで、ネット上にも「相変わらず可愛い」「80年代は良かった」といったファンの声が出ている。グループアイドルの走りともいえるおニャン子出身の渡辺だが、ブレークした時期は一人ひとりのアイドルをじっくり育てた80年代のアイドル歌手全盛期の終盤でもあり、渡辺の活躍を見て当時を思い出すファンも少なくない。80年代アイドルの強みはどこにあるのだろうか。接触イベントが主流ともいえる現在、あえて振り返ってみたい。
徹底して育成された80年代アイドル
「おニャン子が素人であることをウリに台頭してきた時期は、80年代前半までのアイドル界をリードしてきた松田聖子が結婚した時期でもあります。アイドル界にとって大きなターニングポイントだったと言っていいのではないかと思います」と、80年代アイドル黄金期の終焉を振り返るのは、テレビ情報メディアの50代男性編集者だ。 「『ぶりっ子』という言葉を流行らせたほどアイドルというジャンルを具現化した聖子も、出産後はその生き方に共感する女性ファンの支持を基盤にアーティストへシフトして行きました。そして、おニャン子も87年に入ると解散へと向かって行きましたね。モモコクラブもほぼ同時期に消えています。90年代前半にもテレビ朝日が力を入れた桜っ子クラブが多くの芸能人を輩出しましたが、番組自体は初期のSMAPやTOKIOといったジャニーズタレントが盛り上げている面が大きかったと思います」 一方、大手芸能プロダクションの50代男性スタッフは「80年代にアイドルとしてデビューしたタレントのストロングポイントは、徹底した育成にあると思います」と指摘する。 「80年代前半ぐらいまでは、われわれが『こういう子こそ、まさにスターだ』と思う子を見つけて、レッスンをしっかりつけて育成していたんですよ。それで新人歌手としてデビューさせて、賞レースを狙った。そんな競争に残った子だけがアイドルとして世間にも認められ、そのほかの子は残念ながら消えていった。今は最初から『私、アイドルです』って出てくるじゃないですか。アイドルという考え方も立ち位置も変わっちゃっているので、80年代アイドルと今のアイドルは別ものだと思っていただいて良いと思います」 前述の渡辺美奈代も、素人っぽさを魅力にしたグループアイドルの走りであるおニャン子出身ではあるものの、おニャン子のオーディションを受ける前から地元・名古屋にあった大手タレント養成所に通っていたという。そして当時のCBSソニーにスカウトされ、その後におニャン子のオーディションにチャレンジしている。