虎のソナタ 夢のようなダブルヘッダー 7・15午後2時からGT戦、6時から豪華OB戦
(セ・リーグ、阪神3-0中日=七回裏途中降雨コールド、6回戦、阪神4勝1敗1分、21日、甲子園)「あぶねぇ」 そうつぶやいた中日・松葉の口元を、テレビ画面は捉えていた。六回裏2死一、二塁。佐藤輝への6球目スライダーがファウルになった直後だ。 次は低めに落とされるのか? 佐藤輝は見極められるだろうか? 心配しながら見ていたら、なんと再び同じようなスライダー。一閃。打球は右中間スタンドへ。ひと振りで試合を決める千両役者が、雨中のダイヤモンドを一周。中日バッテリーの失投だろう。 いつ打ち切られても仕方ないよな。スコアレスドローやむなし。そう思って眺めていた戦いは、最高の形で決着した。ありがとう、サトテル。よく投げた、才木。降りしきる春雨の中、プレーし続けたタテジマ選手に感謝、感謝だ。 こういう天候の日にはいつも「ドームだったら…」と思う。ドーム球場なら、何の心配もなく野球ができてしまう。甲子園という日本一、いや世界一の球場を本拠地に抱くチームを担当しながら、隣の芝生がよくみえるのだ。 「野」の「球」と書いて「野球」。野原で球を追っかけるから「野球」。ドームを羨ましがるなんて…と分かっていても、雨の中でプレーし続けるのは、選手も、ファンも、気の毒だ。 そういえば、ことしの巨人-阪神OB戦は東京ドームで開催されることが内定した。7月15日。同じ舞台の東京ドームで現役選手たちの巨人-阪神が午後2時開始。その試合の終了後。一応6時開始をメドに豪華OBが集結して、5イニング限定、8時半を超えて次のイニングには入らないという条件で行われる。 節目節目で開催される伝統の一戦のOB戦も、コロナ禍などで期間は開いて、今回が10年ぶり。前回は東日本大震災の復興を願って、2014年に仙台で行われた。 久々となることしは、巨人の球団創設90周年を記念して、東京ドームでは初開催になる。ファンにとって、何よりうれしいのは、昼間に真剣勝負のGT戦。夜にはかつてのスターが勢ぞろいしてのOB戦。夢のようなダブルヘッダーが、観衆の入れ替えなしに行われることだ。日本プロ野球界を先導してきた巨人と阪神の「歴史」を、その日一日で満喫できる。 「OB戦のお金なんて取らない。ファンへの恩返し。巨人の、阪神の、日本の野球のファン、ありがとう、という一日にしたいんや」