アカデミー選出なるか?20代日本人監督の素顔。金森慧さんが監督した「Origami」受賞に集まる期待
――ゲームに興味がなかった少年が、どうやってCGに出会うんですか? 僕は折り紙をやって、バスケットや書道もやって……と、かなりアナログな人間なんです。高校のLINEグループに入るのがいちばん遅かったですし、それくらいデジタルが得意ではなかった。今でもスマホの扱いが下手だとからかわれたりもしますしね(笑)。 ただ性格が完璧主義なところがあって。昔から物をつくることが好きだったんですけど、たとえば折り紙をどんなに完璧に折ろうとしても、ピッタリくっつかないんですが、CGだと数値入力でピタッとハマる。その気持ちよさに惹かれたというのがあります。折り紙を綺麗にたたむにはどうしたらいいだろうっていうのを追求した結果がCGだったと思います。
高校1年生のときには、海外に留学に行くタイミングでパソコンが必要になって。そこで3DCGソフトのBlenderに出会って、独学で勉強を始めました。 そのときのチュートリアルは英語でしたし、英語で調べることも多かった。だからCGをやろうとする後輩たちに言うのが英語がいちばん大切だということ。結局、英語で情報を調べられないとどこかでつまずいてしまうので。 ――そこからデジタルハリウッド大学に進学するわけですね。
そうです。CGをやってみて、これは自分に合ってるし、仕事になるし、自分の好きだった映画にも関われるなと思って。 これを仕事にするために大学を探していたときに、自由学園の卒業生で、(『ハリー・ポッター』シリーズや『ゼロ・グラビティ』など数多くの映画を手がけた)ロンドンのフレームストアというVFXスタジオで活躍してた方がたまたま学園に遊びに来ていて。話を聞いたらデジハリの社会人向けスクールの卒業生だということで、デジハリに行きたいと思いました。
――デジハリではどういう日々を過ごしていたんですか? 僕は2020年に入学したので、最初の2年間は家にこもるしかなかった。それで家にこもっている間に単位を取り終わったような感じなので、僕の代は本当に学校に来る理由がないんですよ。 だから学校のPCルームも静かで。ここで作業するほうが集中できるなと思って学校に通うようになりました。 そういう意味ではなかなか友だちは増えなかったですけど、本当にCGにやる気がある子たちだけが学校に集まっているという感じだったので。まわりが頑張っているから自分も頑張ろうと思わせてくれる環境でした。