5類移行から1年! 生き残ったコロナカルチャー、なくなったコロナカルチャー
■アウトドアブームは風前のともしび 一方、往時の勢いをすっかり失ったコロナ文化も存在する。一世を風靡したアウトドア(Q12)やリモート飲み会(Q13)を今でも継続している人はわずか1~2割。これについて、現代消費文化論を専門とするニッセイ基礎研究所の廣瀬涼氏は次のように分析する。 「3密を避けられ、ソーシャルディスタンスを確保できるという理由で流行していたアウトドアですが、今はどこで何をしてもいいという状態になりましたよね。ここ1、2年でアウトドア用品の中古品が多く出回っているという実情もありますし、ブームはある程度収束したのでしょう。 一方で、ライブ配信やゲーム実況のように、ネット上でダラダラと話している人を見るのが好きな人は一定数います。リモート飲み会はそういう層や子育て層、海外赴任のビジネスマンなどにウケているイメージ。刺さる人には刺さっているので、細く長く残る文化になりそうです」 また、2020年頃はさまざまなアフターコロナ予測も飛び交っていた。例えば、郊外移住(Q14)だ。都心から離れ、家賃や物価の安い地域で暮らしながらリモートワークをしたり、あるいは2拠点生活をするスタイルが定着するとささやかれていたが、ふたを開けてみると、実際に移住した人はたった8%弱! 「企業によっては出社を要求されたり、対面での商談が復活していますから、郊外移住の弊害も意識され始めています。早々に移住を決断して後悔している人も多いのではないでしょうか」(廣瀬氏) このほか、長い自粛生活の反動で高価な買い物をしたり、ハデに旅行をする「リベンジ消費」(Q15)も期待されていたが、実際に行なった人は約17%と少数派だった。 「特に大きな買い物や旅行はしませんでしたね。最近は円安で物価高。常にカツカツで、贅沢がしづらい状況です」(30代・編集者) 「コロナ前の頻度くらいには外食、レジャーなどに出かけるようにはなったが、それがリベンジ消費かといわれると微妙」(40代・経営者) 加えて、コロナ後は旅行をする人が増えるとも予想されていたが、実情はむしろ「頻度が減った」という人が約半数を占める結果に(Q16)。 「コロナが終わったら海外に行きたいと思っていましたが、リモートワークがなくなって仕事が忙しくなり、結局行けていません」(20代・アパレル) こうした結果について、前出の廣瀬氏はこう語る。 「この1年間の所得を比較してみると、高所得者層の収入は増えている一方で、ボリュームゾーンである年収300万円くらいの層は収入が減っているというデータが出ています。 また、今はコロナ禍当時よりも深刻な円安。インバウンド需要で国内のホテルも軒並み値上がりしており、旅行もしづらい状況に追い込まれている。