高速道路などにある【危険物積載車両の通行禁止】バイクも対象になる?
規制の根拠は「道路法・第46条第3項」
高速道路などを走っていると、時折インターチェンジの手前などで「危険物積載車両ここで出よ」という表示を目にすることがある。この表示を見かけた場合、その先に危険物積載車両通行禁止のトンネルがありことが多い。 【画像3点】首都高「危険物積載車両の通行禁止」トンネル一覧と、対象となる危険物 すなわち危険物積載車両は、該当するトンネルを進むことができないので、表示のあるインターチェンジで一般道に降りるほかないということを意味している。 「高速道路が危険物積載車両の通行を禁止するのはいいけれど、危険物積載車両を強制的に一般道へ降ろすのは、自分本位なんじゃないか!」と憤りを覚えるかもしれないが(!?)、けっして勝手に禁止にしているわけではない。 道路法第46条によって道路管理者は危険物積載車両の通行を禁止することができると定められている。該当する項から抜き出せば、以下の通りだ。 “水底トンネル(水底トンネルに類するトンネルで国土交通省令で定めるものを含む。以下同じ。)の構造を保全し、又は水底トンネルにおける交通の危険を防止するため、政令で定めるところにより、爆発性又は易燃性を有する物件その他の危険物を積載する車両の通行を禁止し、又は制限することができる。” ほとんど逃げ場のない水底トンネルや非常に長いトンネル(目安は5,000m)において爆発・火災事故が発生すると、とんでもない大事故になることは容易に想像できる。そのリスク管理として、危険物を積んだ車両の走行を禁止するというのが、この法律の目的といえる。
対象となるのは、火薬、ガス、劇薬など。積載量により規制される
それでは「爆発性及び易燃性のある危険物」とは、どんなものなのだろうか。 たとえば、ダイナマイトの主成分として知られているニトログリセリンのような火薬類は危険物のひとつだ。ほかにもシアン化水素のような毒物、空気に触れることで自然発火するシランのような化学物質も危険物に含まれている。 ただし、これらの危険物を積んでいれば、その量を問わずに通行禁止になるかといえば、そうではない。 普通自動車および小型自動車(四輪以上)の小さなクルマに少量を積むのではあれば危険物通行禁止のトンネルなどを通行することができる。たとえば、黒色火薬10㎏以下やダイナマイト5㎏以下であれば、通行は可能なのだ。 そして、政令において明記されていないが、軽二輪や小型二輪などのバイクで火薬などを運搬する際には実質少量しか運ぶことができないため、ほとんどのケースにおいて危険物積載車両通行禁止のトンネルなどを通行することができるだろう。 余談めくが、「火薬類の運搬に関する内閣府令」によれば、バイクや自転車などで、10㎏を超える「多量」の火薬類を運ぶ場合もしっかり想定されている。その場合、『昼間においては、赤地に((火))と白書した〇・三五メートル平方以上の大きさの標旗を掲げること。』、『夜間においては、赤色灯を車両の前部及び後部の見やすい箇所につけること。』と定められている。 バイクだからといって、勝手気ままに危険物を運搬していいというわけではないから留意したい。 レポート●山本晋也 編集●上野茂岐