センバツ2023 龍谷大平安・2回戦 2桁背番号、魅せた!! ピンチ救ったチーム力 /京都
第95回選抜高校野球大会第4日の21日にあった初戦(2回戦)で、龍谷大平安は長崎日大(長崎)を4―3ときわどく1点差で退けた。勝利の原動力となったのは、昨秋の近畿地区大会では、ほぼ出番のなかった「2桁背番号」の選手たちの活躍だ。【矢倉健次】 ◇流れ呼び込む左前打 石丸晟智選手(3年)/公式戦初打席で結果 松井駿汰選手(3年)/速球武器に抑え全う 岩井聖投手(3年) 序盤から均衡状態が続いた試合は、1―1で迎えた七回に大きく動いた。龍谷大平安は失策で招いた2死一、三塁のピンチから、相手の重盗で勝ち越しを許した。バッテリーは動揺を隠せず、勝負を急いでストライクを取りにいった球を痛打されて追加点を奪われた。 その裏は5、6番で2死を取られ、このまま流れを失うかと思われたが、捕手・松浦玄士(3年)が「桑江駿成を負け投手にしない」という一念で打席へ。しぶとく右前に落とした安打で突破口を開いた。 そして代打で登場した背番号17の石丸晟智(3年)が、左前打を放つ。冬場の成長で「三塁コーチ兼代打」の役割を勝ち取り、初の公式戦の最初の一振りで大きな結果を出した。 一、三塁となって今度は相手バッテリーが焦った。暴投で1点差となり、桑江に代わった2人目の代打、164センチの背番号15、松井駿汰(3年)が左翼線に同点適時二塁打。やはり公式戦初打席だった。「今日一番の当たりだった」と原田英彦監督がほめた一打に、松井は「うれしいです」とはにかんだ。 代打陣の奮起が逆転を呼び込み、2番手投手として登板した背番号11の岩井聖(3年)も好投。最速147キロと表示された速球を軸に力で押し、2回を被安打ゼロ無失点で抑えきった。 この日の先発は全員が、近畿大会と同じ「1桁背番号」のメンバー。近畿大会の3試合はほぼ全イニングを9人だけで乗り切ったが、「冬季にレギュラーを脅かす存在が現れて、チーム力を底上げしてほしい」と原田監督は期待していた。新たに1桁背番号を獲得した選手はなかったが、センバツ初戦で10番台の選手たちがようやく台頭した。 川口知哉コーチは「七回に桑江が打席に立たざるを得なければ、あのまま攻撃が終わったかもしれない。代わりの投手がいるので、監督が代打を出すという選択ができた。1桁と2桁の選手たちの差が縮まっている」と手応えを口にした。 メンバーの流動化がチームの活性化を促した。第9日第4試合(26日午後4時開始予定)で昨夏の覇者、仙台育英と相対する3回戦に向け、楽しみが増えた。 〔京都版〕