高いレースセンスと鋭い瞬発力を併せ持つブラウンラチェットが2歳女王戴冠へ。米国から鳴り物入りで来日したメイデイレディの評価は?【阪神JF】
アルテミスS3着ショウナンザナドゥの末脚は魅力
対抗には、デビュー3戦目のアルテミスステークスで3着に入ったショウナンザナドゥを抜てきしたい。 アルテミスステークスでは外々を回されながら、直線でエンジンがかかるとブラウンラチェットのそれを0秒1上回る上がり33秒2を記録。まだ馬体もレースぶりも幼さが目立つが、それでいて鋭い末脚を繰り出せるところに伸びしろの大きさを感じさせる。展開に恵まれた感があった2着のミストレスよりもショウナンザナドゥを上位に評価し、また賞金抽選で9分の2という狭き門を突破した強運も加味して対抗とする。 3番手には、米国から鳴り物入りで来日したメイデイレディをピックアップする。本年8月にデビュー戦(芝1700m)をハナ差で勝利すると、続くケンタッキーダウンズ・ジュベナイルフィリーズステークス(リステッド、芝1600m)を快勝した。そしてジェサミンステークス(G2、芝1700m)を制して3連勝とし、2歳の芝女王決定戦となるブリーダーズカップ・ジュベナイルフィリーズ・ターフ(G1、芝1600m)に参戦。クールモアがアイルランドから送り込んだレイクヴィクトリアには敗れたものの、後方からよく追い込んで2着に入った。このレースで、今回の出走馬で最高のレーティングとなる111ポンドを獲得している。 持ちタイムもブリーダーズカップの際に1分34秒5を記録しており、日本の馬場への対応も可能なレベル。初の海外遠征に加え、右回りコースでの競馬も初めてであり、適応力が不安材料とはなるが、その点を全4戦で手綱を取り続けているランフランコ・デットーリ騎手の手腕によってカバーできれば好勝負は可能だろう。 その他では、2連勝でデイリー杯2歳ステークス(GⅡ、京都・芝1600m)を制したランフォーヴァウ(栗東・福永祐一厩舎)。アルテミスステークスでブラウンラチェットの2着に逃げ粘ったミストレス。新馬戦、紫菊賞(1勝クラス)と、自在性のあるレースぶりと末脚のキレを生かして連勝中のビップデイジー(栗東・松下武士厩舎)。新種牡馬サートゥルナーリア産駒で、新潟2歳ステークス(GⅢ、新潟・芝1600m)の2着が光るコートアリシアン(美浦・伊藤大士厩舎)らを連下候補にする。 マイルという距離と速い時計への適応力に疑問が残るアルマヴェローチェ(栗東・上村洋行厩舎)、同じくデビュー以来3戦連続で1800m戦を使われてきたテリオスララ(美浦・田島俊明厩舎)は狙いを下げて押さえまで、としたい。 文●三好達彦
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