【独自解説】「“外部の弁護士”に依頼した“内部調査”」「劇団側の信用性・信頼性は失われてしまった」宝塚歌劇団の調査結果に専門家指摘「再度第三者委員会での調査必要」
11月14日、宝塚歌劇団の劇団員が死亡した問題を巡り、劇団側と遺族側がそれぞれ会見を行いました。「いじめやパワハラは確認できなかった」と主張する劇団側に対し、遺族側は「調査は不十分で納得できない」と反論するなど主張が対立しています。果たして真実は…亀井正貴弁護士と企業の危機管理に詳しい桜美林大学・西山守准教授の専門家2人が双方の主張を徹底検証します。
劇団の調査発表に遺族側が反論「会社の依頼を受けた調査委員会という域を出ない」
11月14日、宝塚側の会見で外部弁護士9人の調査委員会による調査結果が発表されました。調査委員会は、宙組劇団員や遺族など70人以上から、延べ1500時間に及ぶヒアリングを行ったということですが、劇団員のうち4人はヒアリングを辞退したということで、その理由は差し控えるということでした。報告の内容は、過重労働は一部認めるものの、いじめやパワハラは確認できなかった、というものでした。
この調査委員会に関して、遺族側は、「劇団側は外部委員会という表現を使っているが、これは第三者委員会ではない。日弁連は、第三者委員会が行うべき調査の方法や調査結果の取り扱いなど厳格な規定を定めているが、今回の調査は会社の依頼を受けた調査委員会という域を出ない」と話しています。亀井弁護士も「“外部の弁護士”に依頼した“内部調査”に過ぎない」と指摘しています。
Q.この調査委員会は、第三者委員会ではないのですか? (亀井正貴弁護士) 「そうですね。だから聞き取り調査される方も、劇団が依頼した“劇団側の弁護士”だとみてしまいますので、話した情報が劇団に漏れてしまう可能性があると考えてしまい、どこまで本当のことが言えるのか?という問題があります。」
Q.宙組だけでなく、その他幅広く調査する必要があるのではないでしょうか? (桜美林大学 西山守准教授) 「内部調査だけですと本当に事実が語られたかどうかという問題がありますし、本当に事実を明らかにしたいのであれば、退団をした方なども含めてヒアリングをしないとだめだと思います」 Q.1か月で、歴史のある宝塚歌劇団の全貌は明らかにできると思いますか? (亀井弁護士) 「期間としては短いと思います。3か月は必要でしょう。現役以外にOGにもヒアリングの必要がありますし、LINEやメールも集めて全証拠を調査する必要があります。また団員の意識の問題もあります。団員は特殊な組織風土の中にいますので、そこもほぐしてからヒアリングしないといけませんので、1か月では全然足りません」 Q.宝塚という閉鎖された特殊な環境の中で、パワハラの意識が希薄になっていたということは考えられますか? (西山准教授) 「非常に考えられます。一般の企業においても、一番多い不祥事はパワハラ・セクハラなんです。特に何も管理をしない状態で、宝塚の様な『閉鎖的な空間』で、『ヒエラルキーがある』、『競争が激しい』という3つが揃うとほぼ確実にパワハラが起きると思ったほうが良いです」
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