「子どもにチャレンジ精神を」 都市部から地方への“保育園留学”に高まる関心 地域の人口減対策にも期待 #令和の親 #令和の子 #令和に働く
海外生活を体験し、語学力を磨くー。そんなイメージがある留学だが、保育園児が主役の「保育園留学」がじわりと広がっている。一般的な留学とは異なり、都市部の未就学児がのどかな地方の保育施設に短期間、入園するという取り組みだ。「子どもをのびのび遊ばせたい」という共働きの親に人気で、千葉県内でも君津市が初めて「留学先」となり、東京都内の親子が仕事と休暇を融合させた「ワーケーション」で1週間ほど滞在。「親子の時間を大切にできた」と好評だ。子どもは大自然の中での経験を通じてさまざまな能力アップが見込める一方、親は視野を広げ、リフレッシュもできるなどのメリットがある。人口減に悩む受け入れ先の地域も、関係人口の増加や経済効果などに期待を寄せている。(かずさ支局・岡田正弘、デジタル編集部・町香菜美)
すぐに友だちができた
房総丘陵の大自然が広がり、東京湾アクアラインを使うと都心から約60分でアクセスできる君津市。同市に移住体験したのは、都内に住む会社員、安田祐佳里さん(45)と長男の侑太郎ちゃん(5)だ。侑太郎ちゃんは普段近くの保育園に通っているが、「チャレンジ精神を養いたい」との両親の思いから、2月4日から5日間、君津市立かずさあけぼの保育園(同市広岡)に「留学」。祐佳里さんは連携宿泊施設の亀山温泉ホテル(同市)に滞在してリモートワークを続けた。 普段はよく食べる侑太郎ちゃんは「人生で初めて」(祐佳里さん)前日の夜と当日の朝、緊張であまり食べなかった。が、登園するとあっという間に園での友だちができた。子ども同士で互いの保育園での遊びのルールを教え合い、広い園庭でのサッカー教室や、追いかけっこ、雪遊びも経験。給食もペロリと食べきった。保育園側も「新しい友だちが入って、子どもたち同士とても良い交流になった」と歓迎する。
子どもとの時間を大切に
一方の祐佳里さんは、侑太郎ちゃんを保育園に送り届けると、宿に戻ってリモートワーク。仕事に集中し、侑太郎ちゃんと温泉を堪能した。家事に追われることもなく、2人きりの濃密な時間を過ごした。 家では夫の幸浩さん(45)の方が比較的侑太郎ちゃんと過ごす時間が多い。フルタイムで働く祐佳里さんは、自宅での在宅勤務もできるが、終業が遅くなったり、土日に出勤したりする日もあるからだ。祐佳里さんの勤務先の在宅勤務の条件は「2時間で帰社できる場所」。「留学」先として、静岡県の伊豆や東京都の青梅なども候補に挙がったが、いずれも宿泊場所が一軒家で、家事をする必要があった。宿泊先が温泉旅館の君津市は、「子どもとの時間を大切にしたい」との思いにぴったりだった。