山の神の早すぎる引退。箱根駅伝は選手を潰すのか!?
箱根駅伝がランナーたちをダメにしているのは!? と関係者の間では、前々から言われてきた。この春にもシューズを脱ぐヒーローたちがいる。大きなインパクトとして報道されているのが、「山の神」と呼ばれた柏原竜二(27)だ。 富士通の公式サイトによると、「昨シーズンに度重なるケガ、故障をしてしまい、この発表をしている今でも完治しておらず復帰のメドがたたないことから競技の第一線を退くことにしました」と柏原はコメントしている。引退の原因は腰痛で、今後は社業に専念し、強化運動部のサポートや社会貢献活動の補助などの業務を行うという。 柏原は箱根駅伝の5区山上りで4年連続の区間賞を獲得して、衝撃的な快走を連発してきた。1年時には4分58秒差を大逆転して、2年時と4年時には自らが持つ区間記録を更新。「柏原劇場」で盛り上がった箱根山中には多くのファンが詰めかけた。柏原人気はSNSでも絶大で、ツイッターのフォロワー数は10万以上を誇る。これは日本陸上界でダントツトップの数だ。 しかし、実業団ではアキレス腱痛などに苦しみ、1万mの自己ベスト(28分20秒99)は大学2年時から更新できず、駅伝でも思うような活躍ができなかった。マラソンに活路を見いだすも、15年9月のシドニーは2時間20分45秒で7位、昨年3月のびわ湖毎日も2時間22分15秒の52位に沈んだ。大学を卒業して5年。27歳での「引退」となった。 柏原が「ランナー」として伸び悩んだのはなぜだろうか。直接的な原因は故障かもしれないが、他にもいろいろと考えられる。 名門校のエースとして、箱根駅伝で3年連続の区間賞に輝いたことのある元実業団選手は、以前こんなことを話していた。 「実業団で潰れた私が言うのはおかしいかもしれませんが、学生時代は箱根に勝ちたい、そういう思いでやってきたので、悔いはありません。箱根で燃え尽きたかと言われると、そうかもしれない。実業団で次の目標を見つけられれば良かったんですけど、私自身は箱根で活躍したことがプレッシャーになっちゃった部分もありましたね。あれだけ注目を集める大会ですから、見誤るんですよ、自分の実力を。学生ではトップかもしれ ないけど、実業団には自分よりも強い選手がたくさんいますから」 大学時代は自分にも他人にも厳しかった柏原だが、箱根から解放されて、ホッとした気持ちと、多くのファンに囲まれて浮かれた部分があったのかもしれない。実業団では自分のイメージしたような活躍ができなかったのは、実力以上に持ち上げてきたマスコミにも責任があるだろう。