第1・2次大戦の不発弾に含まれる化学物質が危険過ぎる...「アマトール」とは?
<そのまま地中に放置されてきた、両大戦の不発弾がもたらす2つのリスクについて>
第1次大戦および第2次大戦で使用され、そのまま地中に放置されてきた不発弾。その危険性は、長い歳月を経て消えるどころか、むしろ高まっているのかもしれない。 【動画】100年前(第一次世界大戦)の不発弾をロボットで爆破処理する瞬間 当時の爆薬には、供給不足だったトリニトロトルエン(TNT)に安価な硝酸アンモニウムを混ぜ合わせた化学物質アマトールが多用されていた。 ノルウェーの研究チームがオープン・サイエンス誌に発表した論文によれば、アマトールは時間の経過とともに地中の水分や金属と反応して揮発性が強まる。 何らかの刺激を受けると爆発する可能性が高いため、不発弾に遭遇した建築作業員などを重大な危険にさらしかねない。 さらに、アマトールが土壌にゆっくり浸透し、土や地下水を汚染している恐れもある。 アマトールを含む爆発物やその分解生成物には有害性と発癌性があり、既に地上や水中の生物への影響が確認されている。爆弾の外装の劣化が進めば、汚染のさらなる拡大が懸念される。
ジェス・トムソン(本誌科学担当)