【韓国ドラマ】Netflixの申し子ソン・ガンが熱演!嬉しくも悲しく、熱くて切ない名作ドラマ
画面越しに伝わる、ドクチュルからのあたたかなエール
何歳になっても夢を追いかける姿、周りに反対されても諦めないドクチュルの姿は、ともすれば「70も過ぎて妙なことを始めたお節介じいさん」になりかねません。 そこは半世紀以上も最前線で活躍する大俳優パク・イナン。大らかで人情深く、お節介だけど憎めないかわいらしさで、まわりに愛情を与えるドクチュルを、魅力たっぷりに演じています。 ドクチュルな真剣な思いと優しい言葉、そして思いやりの数々は、慈愛に満ちた海のように周囲の人を包み込み、チェロクだけでなく、明るい未来を描けなかった若い世代の背中も押していくのです。
「バレエをやらないまま、人生を終えることはできない」
「今こそ新しいことを始めよう」。そんな希望を胸に抱きつつも、なかなか踏み出せずにいることってありませんか? ドクチュルがバレエに挑むキッカケは、旧知の友が最期に言い残した後悔でした。友の慟哭を聞いて、「バレエをやらないまま、人生を終えることはできない」と決心したドクチュル。世間体や、家族の反対や、体力的限界にも負けず、必死にバレエに食らいつきます。そこまで努力しても、妻や息子、孫は「いい歳をして何を言っているのか」と冷ややか。 一方、若いチェロクが順調満帆かと言われたら、そうではありません。親元を離れて生きているチェロクは、経済的にも精神的にも不安だらけ。若いが故の迷いもあります。 つまり、夢を追うことへの苦悩や葛藤は、年齢に関係なく付きまとうってこと。だからこそ、本作で描かれる夢を追うことの苦悩、乗り越えた先にある奇跡が、心を揺さぶるのだと思います。
「準備が整うまで待つな。まずはスタートを切れ」 「さあ次はお前の番だ」 そう若者たちに声をかけるドクチュルの言葉は、画面の向こう側にいる我々にもエールを贈ってくれているようで、胸に沁みます。 年齢も、生きてきた環境も違う2人をつないでいるのは、バレエへの情熱。自分の夢を他人に踏みつけられたり、容赦のない“老い”という時の流れに、怒り、苦しみ、絶望しながらも前へと進み続ける2人。彼らを見ていると、「したいことをする」その先には「幸せ」というまばゆい光景が広がっているのだなと思いました。 タイトルの“ナビレラ(나빌레라)”は、韓国語で「蝶のように美しく羽ばたく」という意味。ソン・ガンの蝶のような舞いに見惚れ、パク・イナンの演技やセリフに胸打たれ。2人の追いかける夢の結末に涙するはずです。
ライター 中川薫 Kカルチャー・旅・お酒・漫画・音楽・スポーツ観戦好きのライター。ドハマりしたK沼が旅沼に直結し、年間十数回は海外へ。マイブームは「海外の大衆食堂をめぐること」。2023年は釜山&ソウル(韓国)、バンコク&ブリーラム(タイ)、ホーチミン&ハノイ&ダラット(ベトナム)、コロンボ(スリランカ)、リヤド&ジェッダ(サウジアラビア)で爆食。2024年はソウル、ソウル、台湾、ソウルへ。