マー君を巡る驚がく年俸の”情報戦”
楽天からポスティング申請された田中将大投手を巡って日米の報道が過熱している。「どの球団が獲得に乗り出すのか」と同時に「その年俸はいくらになるのか」という点が報道の焦点となっている。 広島・前田智徳 チンタラした態度 ”誤解を与えていた”
新ポスティングシステムで、入札金額の上限が20億円に抑えられたことと、複数球団が交渉可能になったことで、年俸の高騰が予想されているもので、ポスティング申請直後には、USATODAYの旧知の記者、ボブ・ナイチンゲールが、「田中は1年で最低17億円を求めている」という記事が出した。その後も、米国のメディアは、続々と年俸に関する情報を発信。「複数年で最低でも総額104億円は必要になる」「ブレーブスが1年で21億円を用意している」というような大きな金額が飛び交っている。 では、果たして、それらの数字に信憑性があるのだろうか。報道を細かく見ると、他のプレーヤーと比較しながら出された完全な憶測の数字と、メディアが、取材の中から様々な球界関係者から情報を引き出してきた数字の2種類がある。前者は分析、予測としては面白いが、注意しなければならないのは、取材に元づいて出てきた後者のパターン。 すでに田中将大投手の代理人であるケーシー・クロースからの接触があったヤンキースの紀田彰一スカウトは、それらの報道の中には、代理人と球団、もしくは、球団同士の“駆け引き”があると見ている。 「FA選手も含め、メジャーの選手の交渉では、アメリカのメディアは、その金額について事前に情報を飛ばします。でも、ほとんどの場合、その金額は正しくはありません(笑)。代理人もしくは球団サイドが、メディアにうまく情報をリークして、今後の駆け引きの道具として書かせるのです。代理人にすれば1円でも高い好条件を引き出したい。球団は逆に適正な金額で契約したいと考えます。また球団によれば“ライバル球団に大きな補強費を使わせよう”という狙いで金額を吊り上げようと試みるところもあります。今回は、すでに『1年最低17億円』という報道が出ています。6年契約を結ぶとずれば102億です。田中選手の持つ能力と若さは魅力的ですが、まだメジャーで1球も投げていない未知の投手に、年俸金額の青天井などということはありえません。ヤンキースがFAで契約した黒田博樹が、単年で16億円。ダルビッシュが6年で52億円の契約でした。単年で約9億円です。田中選手がそれ以上の金額で決着することはまずないでしょう」