米10月PPI、前年比2.4%上昇に伸び加速 インフレ抑制失速示す
(内容を追加しました) [ワシントン 14日 ロイター] - 米労働省が14日発表した10月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年比2.4%上昇した。伸びは前月の1.9%から加速し、市場予想の2.3%を上回った。 13日に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)も前年比2.6%上昇と、伸びが加速しており、インフレ抑制に向けた進展の失速を改めて示唆する内容となった。 ただ、米連邦準備理事会(FRB)が12月に追加利下げを実施するという観測を変えるには至っていない。 PPIの前月比は0.2%上昇で、予想と一致。9月は当初発表の変わらずから0.1%上昇に上方改定された。 キャピタル・エコノミクスの北米担当デピュティチーフエコノミスト、スティーブン・ブラウン氏は「今週発表されたインフレデータは、インフレ圧力がFRBの想定以上に強いことを示唆している」と述べた。 バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズの米国エコノミスト、スティーブン・ジュノー氏は「われわれは依然としてFRBが12月に25ベーシスポイント(bp)の利下げを行うと予想しているが、景気回復とインフレの根強さを考えると、利下げサイクルは浅くなるリスクが高まっているようだ」と述べた。 サービスの価格は0.3%上昇。9月は0.2%上昇していた。ポートフォリオ管理費が3.6%急伸し、サービス価格全体の伸びの3分の1超を占めた。 航空運賃も3.2%上昇。前月は1.1%上昇していた。 病院の外来診療費は0.6%上昇。前月は横ばいだった。 ポートフォリオ管理費、医療費、ホテルなどの宿泊料、航空運賃などは、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標の1つとして重視する食品・エネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)価格指数の算出に含まれる。 モノの価格は0.1%上昇と、前月の0.2%下落からプラスに転じた。食品は0.2%、エネルギー商品は0.3%それぞれ下落した。 食品とエネルギー、貿易サービス部門を除いた狭義のコア指数は、前年比3.5%上昇、前月比0.3%上昇。前月はそれぞれ3.3%、0.1%上昇していた。 消費者物価指数(CPI)とPPIのデータからエコノミストが推定する10月のコア個人消費支出(PCE)価格指数は、0.28─0.32%上昇の範囲となった。13日のCPI発表直後の0.2─0.26%の範囲から上昇した。 10月のコアインフレ率は前年比2.8%上昇すると予想される。ここまで3カ月連続で2.7%上昇していた。 CMEのフェドウオッチによると、金融市場が見込む12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%ポイント利下げの確率は約79.1%、金利据え置きの確率は約20.9%。一部のエコノミストは12月の利下げはぎりぎりの判断になるとみている。 JPモルガンのエコノミスト、マイケル・ハンソン氏は「経済の継続的な正常化と労働市場のバランス改善の動きにより、コアPCEインフレは今後数四半期にわたり緩やかな下降軌道に戻るだろう。しかし大幅な関税引き上げの可能性により、来年の見通しには上振れリスクがある」と述べた。