「実家に帰省したら、散らかった家に絶句…」“片づける気のない親”を説得するコツとは
まずは自分の物から片づけ始める
実家にそのまま残している自分の物があれば、そこから片づけを始めましょう。きっと、親もどうしていいかわからずに放置しているはずです。また、親に「いる・いらない」の判断をしてもらう必要がないので、スムーズに進みます。 今は自分の家にある物だけで生活しているので、実家にある物は基本的に生活するにあたり困る物ではありません。「過去」のあなたの物で、「今」のあなたにふさわしいかどうかを考えて、残すかどうかの判断をしましょう。もしどうしても実家に残しておきたい物がある場合は、容量を決めておくといいですね。例えば、収納ボックスに1つ分だけなどと決めて、それだけ実家に置いてもいいかを親に確認してください。 実家にある自分の物は、おもに学生時代の思い出が強いから残してあるのではないでしょうか。そういうときは、写真に撮ることをおすすめします。実物として実家にずっと放置しておくよりも、写真にして手元に置き、いつでもすぐに眺めて思い出を懐かしむ方が、物を大切にしていることになると思います。 自分の物から始めた方がよいメリットとして、家の1ヶ所が片づくと親の「片づけスイッチ」が入る可能性があるということが挙げられます。きれいに整った空間は、見ていて気持ちいいものです。親が「他の部屋も片づけようかな」という気分になってくれれば、片づけのスピードはグッと上がります。
親の場所は、小さな範囲から手をつけて少しずつ広げていく
自分の物が終わったら、親の物に移ります。リビングから始めたいところですが、ちょっと待ってください。リビングやキッチンは、片づけるとスッキリしたという実感を得られやすいので、できれば早めにきれいにしたいと思いますよね。でも、これらの場所は1日のうち長い時間を過ごす場所。プライベートな物もたくさん置いてあるはずです。いきなりあちこち触られては、いくら家族といってもいい気はしません。 玄関や洗面所など、滞在時間の短い、狭いスペースから始めるとよいでしょう。その場合も、家具を動かしたり、物の保管場所をガラリと変えたりしてしまうと、変更したことにすぐに慣れずに不便さを感じてしまうかもしれません。親が把握しやすく、生活しやすいように整えてあげることを優先して片づけるようにしてあげてください。片づけを進めると、物にまつわるエピソードを親が話してくれることがあると思います。ぜひ聞いてあげてください。他の人にとってはただの物に見えても、親にとっては大切な思いが込められた宝物かもしれません。また、それを聞くことは、自分の家族の歴史やアイデンティティを確かめるためにもよい経験になることでしょう。親の方も、話を聞いてもらうとなんだか気持ちが軽くなって、すんなりと物を手放すというパターンが実はよくあるのです。 私が主宰している「家庭力アッププロジェクトⓇ」を受講している方は、自分の家の片づけが終わったら、次は実家をきれいにしたいという方が多いです。私は片づけの得意・不得意は、育ってきた環境が影響していると考えています。自分が片づけられない理由に、実家が散らかっていたからそれが当たり前だと思っていたと話す方が多くいます。ということは、親はずっと散らかった環境に慣れてしまって、スッキリした家で過ごす快適さを知らないのかもしれません。これからの人生を楽しんでもらうためにも、まず片づけの話をすることから始めてみませんか?
【PROFILE】西崎彩智
西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクトⓇ」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等の全国の教育施設にて講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。