部下のやる気アップに「ほめる」より大事な一言 コーチングにおける「アクノレッジ」とは何か
自分の存在は、「そもそも肯定されている」というのがデフォルトですから。 言い方を変えれば、周りに自分を認めてもらうために行動を起こしたり、発言をしたりする必要がなくなるわけです。 ■承認されるために「ゲーム」をする人もいる 自分が手にしたいものを手にするために、直接的にそれを求めるのではなく、結果的にそれが手に入るように「仕組む」こと。それをここでは「ゲーム」と呼んでみます。 自分やチームが目標に到達するために、行動を起こしたり、ミーティングで発言をしたりすること自体は、「ゲーム」ではありません。
しかし、そこに「お前はよくやった」となんとか周りに言わせたいという気持ちがにじみ出ていると、ゲームっぽさが漂います。 誰しも行為に対して承認は受けたいものですが、それを手にするための色合いが強すぎると、ゲームという範疇に入ってきます。 強く自分の成果をアピールするならまだわかりやすいですが、誰かをおとしめることで自分を浮かび上がらせようとすれば、これはもう完全にゲームです。 ゲームはさまざまな形で表出します。
たとえば会議という場面で、妙に細かなあらを探して突っ込みを入れるのは、それがわかっている自分という存在を際立たせるため。 少しでも自分の意見に反目した人とコミュニケーションを取らないのは、自分へのリスペクトを欠いた人とは付き合わないことを示す、つまり自分はリスペクトに値する人だということを外に示すため。 会議で発言しないのは、発言しないことで逆に自分に注目させるため。 これらは、会社の未来を考えての行為ではなく、自分の存在を肯定させるための行為です。こうしたゲームの出どころは、つまるところ、承認不足によるものではないかと思います。
■今からアクノレッジをやってみる あなたに部下が10人いるとして、どのくらいの存在承認を子供時代から今に至るまで受けてきたかは、10人それぞれでしょう。 でも、過去のことを言い始めたらきりがありません。今からが再スタートです。デービッドが私たちにやってくれたように、あなたも部下にアクノレッジメントをしてみましょう。 チームの中での存在承認が増えれば、誰かを上げたり下げたりすることで自分の価値を高めようとする、全体のエネルギーを奪う「ゲーム」は総体としては減るはずですから。
鈴木 義幸 :コーチ・エィ代表取締役 社長執行役員