男子走幅跳の橋岡優輝は優勝すればパリ五輪代表に内定 助走改良の成果が出始め日本記録更新の期待も【日本選手権プレビュー】
「浮かずに行けたのですが、記録に結びつけられませんでした。でも、次にはつながると感じました。3月に標準記録を跳んだときより感覚としては良くなっています」 走幅跳は踏み切り時の体への負荷が大きく、昨シーズンまでは橋岡もケガも多かった。肝心な時期に練習が中断することもたびたびあり、世界陸上の予選落ちもその影響が大きかった。しかし今年は痛みがほとんど出ていない。 「以前の跳躍ではタイミングがずれると、体に不具合が生じやすかったのですが、今は素早くパワーポジションに入れるようになったので、ケガが減っています。それに伴い踏み切りも安定してできるようになってきました」 GGP後はタンブルウィードTCがヨーロッパで拠点としているイタリアに行き、レイダー氏に直接動きを見てもらった。 ■日本選手権で目指すのは8m40以上 日本選手権の橋岡はどこに注目したらいいのだろうか。 すでにパリ五輪の標準記録は突破しているので、優勝すれば代表が内定する。だが橋岡がやりたいのは、新しい助走を安定させて記録に結びつけ、パリ五輪へのステップとなる結果だ。まずは試技前半でのファウルを少なくできているかどうか。GGPの際は次のように話していた。 「前半試技で助走距離が右往左往してしまいました。1本目からある程度(内容が)まとめた助走ができなかったところが、今の自分の弱さです。1本目から納得できる助走をして、試技を進める中で修正を徐々にして、5本目あたりで良い記録を出す試合運びをしたい」 前半試技のファウルが少なければ、GGPの5、6本目のような跳躍がファウルにならずにできる。 「パリ五輪の目標はメダルですけど、まだそこに手が届くような準備はできていません。やっと準備の第1段階に入れたのかなという状況です。これからもっと詰めていって、日本選手権ではある程度良い感覚を得ておきたいです」 橋岡がつかむ技術的な手応えが最も重要だが、その結果が日本記録更新という形になって表れることがベストの形だ。パリ五輪に向けて思い切り踏み切った、と言えるような跳躍を新潟で見られるだろうか。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
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