ソフトバンクの大勝呼んだ〝プレイボール初球〟三森大貴の美技
◆ソフトバンク21―0楽天(21日、みずほペイペイドーム) 【記者コラム/好球筆打】 やっぱり本人は分かっていた。三森だ。5回。9番打者なのに、早くも回ってきたこの日4度目の打席で左翼線への二塁打を放った。「あとは自分だけだったので、正直、焦ってました」。〝大トリ〟となったこの一打で、チームは今季初の先発全員安打を達成した。 ■まっすぐな視線の先に…【写真】 それにしてもみんなよく打った。6番栗原は三塁打が出ればサイクル安打達成という状況で、この日2本目の本塁打を放つ暴れっぷり。2番今宮はリーグ初となる1イニング2三塁打を記録するなど、チーム全体で23安打、21得点といずれも今季最多を軽く更新した。 「何とも言いようがないねえ。長くやっていると、こういう試合もあるんだな」。試合後、ダッグアウト裏の通路に姿を見せた王球団会長もほくほく顔だった。20日に84歳の誕生日を迎えたばかりとあって、二重の喜びとなったかもしれない。 ただ、これだけ打ちまくった試合でも4投手の継投で今季5度目の零封勝ちを収めたディフェンス力は、やはり素晴らしいの一言に尽きる。その始まりは二塁手の三森が見せたジャンプ一番の好捕だった。初回無死、頭を越えそうな小郷のライナー。着地後はバランスを崩し、後ろ向きに1回転するほど高くジャンプしての捕球だった。 しかも、プレイボール直後の1球目だ。あの好捕がなければ、また違った試合展開となっていたことだろう。大勝を呼び込む美技ではなかったか。(石田泰隆)
西日本新聞社