なでしこが世界一を決めた伝説のゴール、澤穂希は「宮間しか見えなかった」…明かされる伝説の瞬間
「うわっ、入ってる!」
澤さんがアメリカ選手を引き付けながらニアに走り出し、宮間さんがそこにボールを蹴りこんだ。
「(宮間さんが澤さんの動きを)見て見て見て、あそこに(ボールが)来るだろうなっていうところに蹴ってくれたから、宮間のゴールのようなもん、あれは」
「本当に走り出したところにボールが来て。自分も直接入れようと思ってたわけじゃなくて、そらして中の3人の誰かが入れてくれたらいいなって思ったら」
澤さんはアメリカ選手と競り合いながら足を伸ばし、ボールはゴール方向に軌道を変えた。澤さんはそのままピッチに倒れこんだ。
「歓声が上がって。自分も転がってたから、どうなってんのかなと思って見たら『うわっ、入ってる!』。もう、びっくりしちゃった」
「やっぱこれ夢じゃない」
「あそこで宮間が合わせてくれたのは信頼をしてくれてたから。自分が走り出してから(コーナーキックを)蹴ってるから。(ボールに触れたのは)本当に小指。右足のアウトサイドの小指らへん」
「本当にスローに見えたの、全部が。ゾーンっていうか。自分が走ってるんだけど、なんかスローで走ってんの」
ゴールが決まって、スタジアムが歓声に包まれたときも?
「もう目の前に宮間しか見えなかった」
槙野さんは「不思議だな、それ」と反応する。
「宮間のところにしか行けないというか、宮間しか入ってこなくて。後ろから(チームメートが)来てたんだけども、もう宮間しかっていうぐらい」
当時、槙野さんはドイツ・ブンデスリーガでプレーしていた。「ドイツにいたんですけど、澤さんのゴールが入った時にマンションの管理人が『ゴール決めたぞ、勝ったぞ!』って。忘れられないもんな」と振り返る。
日本代表は準々決勝でドイツに勝利し、決勝まで駒を進めていた。「だからドイツの人たちが応援してくれたんですよね。優勝した時も、ドイツの空港でパイロットの人たちとか、もうすごかった」と澤さん。
W杯優勝をきっかけに、国内女子サッカーは空前の「なでしこフィーバー」にわいた。