【感染症ニュース】新型コロナ全国定点1.81 北海道・東北は多い 医師「ワクチン接種検討を」
厚生労働省が、2024年11月29日に発表した第47週(11/18-24)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」によると、全国の定点当たり報告数は1.81。前週の1.90から微減となりました。まだ大きな流行にはなっていませんが、都道府県別にみると、秋田県(7.96)・岩手県(6.37)・北海道(5.50)・青森県(3.69)・福島県(3.26)・宮城県(3.12)・山梨県(3.07)で、3を超えています。 特に、東北地方や北海道など北日本で患者報告数が多くなっており、注意が必要です。 現状について、感染症に詳しい医師を取材しました。 【2024年】12月に注意してほしい感染症!インフルエンザの動向に要注視マイコプラズマ肺炎は過去最多を更新医師「首都圏は伝染性紅斑に注意」 ◆感染症に詳しい医師は… 感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「2024年秋の新型コロナウイルス感染症の患者発生数は、全国、大阪府共に第45週(11/11-17)を最少値として、翌第46週は増加がみられています。ここまでの患者発生数の推移、過去のこれまでの流行の経過等をみていると、今後患者発生数は国内、大阪府内ともに増加に転じていて、12月~2月の流行期を迎えると予測されます。冬の流行規模は予測しづらいですが、新たな変異株であるXECが流行の主流株となる場合は、ある程度規模の大きな流行となると考えています。国内の第38~41週(9/16-10/13)のサーベイランスデータによると、新たな変異株であるXECが検出されてきていますが、東京都からの報告では、第44週(10/28-11/3)では都内で検出された新型コロナウイルスの30.0%がXEC株で占められています。XEC株はJN.1株からの派生株ではあるが、免疫逃避力と伝播力に優れていると言われており、国内においても今冬の流行の主流株となる可能性が高いでしょう。12月に入り、気温・湿度ともに、低下し、ウイルスの流行に適した時期になっています。実際、大阪府では、翌48週に、定点が1.46と跳ね上がっています。先日、私も、8回目のワクチンを接種しましたが、今回は、武田薬品のヌバキソビッドを選択しました。個人差は、あると思いますが、私の場合は、発熱や接種部位の痛みはありませんでした。ワクチン自体を接種されない方も増えていますが、新型コロナウイルス感染症は、罹患した場合だけでなく、罹患後症状も厄介です。接種が可能な方は、ワクチン接種を検討してみてはいかがでしょうか」としています。 ◆新型コロナウイルス感染症とは? 新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫、またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分で混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。感染すると2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。 ◆新たな変異株の登場 国立感染症研究所感染症疫学センターの「新型コロナウイルス感染症サーベイランス月報(2024年10月)」によると、今年38〜41週(9月中旬〜10月上旬)に民間検査機関の検体から検出されたウイルスはKP.3系統が約7割を占めていましたが、XECという新たな変異株が約5%検出されました。続いて、発表された、11月28日(12時時点)での第45週(11/4-10)ゲノム解析データでは、KP.3株が71.4%。新たな変異株XECが28.6%検出されています。 ◆冬場は部屋の換気を忘れずに! 新型コロナウイルス感染症とともに、インフルエンザも流行拡大の兆しがあります。予防の一つとして、部屋の換気があります。寒くなりましたが、定期的に部屋の空気を入れ替えるよう心がけましょう。 引用 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第47週(11/18-24) 国立感染症研究所感染症疫学センター:新型コロナウイルス感染症サーベイランス月報(2024年10月) 東京都保健医療局感染症対策部:東京都新型コロナウイルス感染症情報(2024年11月22日発行) 取材 大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏