巨人と日ハムがトレード。大田と吉川は環境が変わればブレイクできるのか?
過去に「環境が変わって成功した選手」は少なくない。 古くは、1988年オフに行われた巨人の西本聖、加茂川重治と中日・中尾孝義との大型トレードでは、前年度、4勝に終わっていた西本が、中日で20勝して最多勝、巨人に移籍した中尾も、中日では外野にコンバートされていたが、捕手に戻って山倉和博からレギュラーを奪い、巨人の日本一に貢献。2人はカムバック賞を獲得している。2007年オフに、阪神の濱中治、吉野誠との2対2トレードで、オリックスから阿部健太と共に移籍した平野恵一も、控えからレギュラーに復活するなど環境が変わって成功した一人だろう。 だが、環境が変わって復活する選手は、過去に成功した実績を持つ選手が多い。今回の大田のように前の球団で芽が出なかった選手がブレイクする例は、それほど多くない。1989年に慶大から超大砲候補としてドラフト1位指名された大森剛は、最後、近鉄にトレードされたが、ブレイクできなかったし、前述した阪神の濱中治も、オリックスでも殻を破ることはできなかった。 巨人から1997年に石井浩郎とのトレードで石毛博史とともに近鉄へ移籍した吉岡雄二は、数少ない成功例。巨人では、怪我や野手転向などもあって7年間伸び悩んだが、近鉄へ移籍した2年目にレギュラーを獲得した。中日で7年間、正捕手の座を奪えず、外野起用までされながら阪神に移籍して中心的な存在になった矢野燿大も、前球団での実績がないまま環境が変わってブレイクした一人。 そう考えると、今回、成功する可能性は、実績のある吉川の方が高いとも考えられるが、「環境が変わって選手は成功するのか」のトレードの行方を興味深く見守っていきたい。