他の相続人が巻き添えに…「相続税滞納」のペナルティと連帯納付義務【税理士の解説】
相続税を未払いにした場合のペナルティ
相続税を期限までに申告せず、延納や物納の手続きも取らずに未払いにしていた場合は、以下のペナルティがかけられます。 ●税金を未払いにしていたことへのペナルティ:延滞税 ●正しく申告しなかったことへのペナルティ:無申告加算税 相続税を未払いにしていたことへのペナルティとして、延滞税がかけられます。未払いの税金に対する利子にあたるもので、相続税の本来の納付期限の翌日から相続税を納付した日までの日数に応じて計算されます。税率は次のとおり定められています。 ●本来の納付期限の翌日から相続税を納付した日までの期間のうち申告書の提出日の翌日から2ヵ月以内:年2.4%※ ●申告書の提出日の翌日から2ヵ月以降:年8.7%※ ※ 延滞税の税率は令和4年1月1日から令和6年12月31日までの期間のものです。これ以外の期間は税率が異なるため、国税庁ホームページなどで確認してください。
正しく申告しなかったペナルティとして無申告加算税もかかる
相続税を申告していなかった場合は、正しく申告しなかったことへのペナルティとして無申告加算税もかけられます。無申告加算税の税率は次の表のとおりです。税務調査を受ける前に自主的に申告した場合と、税務調査やその事前通知を受けてから申告した場合では税率は異なります。
悪質な場合は重加算税がかかる
相続税を申告せず未払いにしていた場合で特に悪質な場合は、無申告加算税の代わりに税率40%の重加算税がかけられます。特に悪質な場合とは、課税を免れるために財産を隠したり証拠書類を偽装したりした場合があてはまります。 なお、次のいずれかにあてはまる場合は、税率が10%加算されます。 ●申告期限が平成29年1月1日以降で、過去5年以内に相続税で無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合 ●申告期限が令和6年1月1日以降で、前年度及び前々年度の国税に無申告加算税・重加算税が課され、さらに同じ税目で無申告があった場合
未払いで逃げ切ることは不可能
相続税の納税には時効があります。通常は納税期限の翌日から5年で、意図的に申告しなかったなど特に悪質な場合でも7年で時効を迎えます。しかし、相続税を未払いにしたまま時効まで待っても納税を免れることはできません。 税務署には強力な調査権限があり、亡くなった被相続人の財産内容や相続人個人の預金口座の情報などを調べることができます。さらに、人が亡くなったことはその都度税務署に通知されることになっていて、相続があったことを隠し通すことはできません。 相続税の申告をしないで時効まで待つつもりでも、いずれ税務調査が行われて相続税の未払いが発覚してしまいます。