[国スポ少年男子]関東予選の前回王者撃破も自信に。東京都が京都府に6-0で快勝、自分たちのサッカー感と程よい緊張感を持って「アレ」を取りに行く
[9.22 国スポ少年男子2回戦 京都府 0-6 東京都 北部グラウンドB] 東京が強さを見せつけた。22日、「SAGA2024第78回国民スポーツ大会」サッカー競技少年男子の部2回戦が行われ、東京都が京都府に6-0で快勝。東京は23日の準々決勝で福岡県と戦う。 【写真】「スタイル抜群」「目のやり場に困る」“勝利の女神”のアウェー遠征に反響 小野貴裕監督(関東一高)が、「絶対的なエースはいないんですけど、でも逆に言うと、どこからでも点数が取れる」と評する今年の東京が圧巻の6ゴールだ。関東ブロック予選で前回王者・茨城県と対戦。「全国大会の1回戦みたいな感じでやった」(小野監督)という戦いで勝利(4-2)していることも自信になっている。 前回大会3位経験者のMF今井宏亮(東京Vユース、2年)は、「ほんとに茨城は去年優勝した県だったので、手強い相手だったんですけど、しっかり監督から言われていることを大原則としてチームでしっかり発揮できた」。得意とする狭い局面での崩しを発揮した茨城戦とはやや異なる戦いになったものの、本大会をインパクトのある白星でスタートした。 東京の先発はGK渡邊麻舟(FC東京U-18、1年)、右SB西澤航星(駒澤大高、2年)、CB安田礼(東海大高輪台高、2年)、CB田中理久(FC東京U-18、1年)、左SB渡邉春来(東京Vユース、1年)、中盤は中央に今井宏亮(東京Vユース、2年)と下吉洸平(東京Vユース、1年)が入り、右に小林瞭介(横浜FMユース、1年)、左にゲーム主将の友松祐貴(FC東京U-18、1年)、前線は四日裕歩(横浜FCユース、1年)と伊藤優(三菱養和SC巣鴨ジュニアユース、中3)がコンビを組んだ。 一方の京都は、GK麻生太朗(東山高、1年)、右から音和空(京都U-18、1年)、古田快斗(京都U-18、1年)、主将の児玉一成(京都U-18、1年)、山本怜央(京都U-18、1年)の4バック。中盤は大重健二朗(履正社高、2年)、岡本倖汰(京都U-15、中3)のダブルボランチに右SH松本瑛太(京都U-18、1年)、左SH玉山煌稀(履正社高、2年)で構成。そして、永井瞭太郎(京都橘高、1年)と藤井敬士(京都U-18、1年)が2トップを組んだ。 前半、思うようなビルドアップができていなかった東京だが、「予測と判断っていうところは常にチームでこだわりながら練習して、そこが自分の強みでもあるので、そこはしっかり試合で出していた」という今井が、下吉のサポートを受けながら奪い返しを連発。また、GK渡邊が後方からの声でスペースを埋め、186cmの長身で身体も動くCB安田やCB田中が要所を締めていた。 そして、前半18分には安田のインターセプトから素早くボールを動かし、友松のパスが左の四日へ届く。すると、四日はフェイントを交えたドリブルで中へ運び、右足シュート。鮮やかな一撃で先制点をもたらした。 対する京都は21分、音和がワンツーからラストパスへ持ち込み、藤井が右足シュート。また、左の玉山がドリブル、コンビネーションで打開を図る。加えて、前からのプレッシングでボールを奪い切ることにも成功していた。だが、永井のシュートが相手左SB渡邉にブロックされたほか、右SB西澤や今井、下吉の対人守備の強さにも苦戦。前半はCB児玉を中心とした守りで東京に2点目を与えなかったものの、後半に突き放されてしまう。 東京は後半開始から伊藤をFW黒木星南(横浜FCユース、1年)へスイッチ。すると4分、右サイドの黒木へ縦パスが入り、そこから小林を経由して四日へボールが繋がる。最後は四日が中への持ち運びから右足で決めて2-0。京都も松本の奪い返しから藤井がシュートへ持ち込むも、決め切ることができない。 東京は11分、右の黒木からパスを受けた友松が右足で右隅に決めて3点目。京都は右SB三原煌平(京都U-18、1年)、FW居場匠俐(FC大阪U-18、1年)を投入し、流れを変えようとする。 だが、東京は交代出場の中学生FW川村求(横河武蔵野FC U-15、中3)が2得点の活躍。まずは26分、黒木のパスから左の四日が縦へ仕掛けて並行のラストパスを送る。これを川村が右足ダイレクトで決めて4-0。この後、京都はDF森脩人(京都橘高、2年)、MF山本琉惺(京都U-18、1年)、GK近藤慧(京都U-18、1年)を投入し、東京もMF木下勝正(川崎F U-18、1年)、CB松野泰知(FC東京U-18、1年)、GK宋楽陶(関東一高、2年)をピッチへ送り出した。 終盤、印象的な動きを見せたのが、東京FW川村だ。9月16日のメニコンカップ日本クラブユースサッカー東西対抗戦(U-15)でMVPに輝いている川村は、中学生離れした強さを発揮し、35+1分にも豪快な右足シュートでゴールをこじ開けた。 小野監督が「東京で1番今やれる子たち」というU-16世代の16人に、いずれもU-15日本代表の伊藤と川村がメンバー入り。指揮官も「あの2人はやっぱ強心臓ですよ。全然臆することがない」と評していたが、この日は川村が躍動した。東京は35+5分にも友松のアシストから、この日4得点に絡んだ黒木がゴール。6-0で試合を終えた。 この日の東京には、初戦の勢いがあったことも確か。小野監督が「自分がボール持っていなくても、自分のサッカー感とか、自分のサッカーのアイディアが消えないような感じでやれたらいい」という。ゴールを量産できなくても、目線の近い選手たちが互いに察知しながら連動し、より質の高いサッカーを表現することを期待する。 周囲からの優勝を期待する声に気負いすぎた面もあった昨年の反省から、小野監督は「一応、今年は岡田さんみたいに“アレ”にしている状態なので」。昨年、プロ野球・阪神の岡田彰布監督が選手たちに頂点を意識させ過ぎないように、優勝を「アレ」と呼び続けて38年ぶりの日本一。今井が「“アレ”を取りに行きたい」と微笑んだように、選手たちも良い緊張感を持って目標にチャレンジする。