【京都大賞典】伏兵シュヴァリエローズの勝因はどこに? 騎手と調教師の共通した見解とは
[GⅡ京都大賞典=2024年10月6日(日曜)3歳上、京都競馬場・芝外2400メートル] 年末まで続くロングラン京都開催のオープニング重賞・GⅡ京都大賞典(6日、芝外2400メートル=1着馬に天皇賞・秋の優先出走権)は、北村友一騎乗で8番人気の伏兵シュヴァリエローズ(牡6・清水久)が接戦を差し切って重賞初制覇を決めた。勝ち時計は2分22秒9(良)。1番人気ブローザホーンの凡走こそあったものの、この馬自身の走りは決してフロックではなさそう。その勝因を陣営の言葉から探る。
予定は狂ったものの…
先にいいスタートを切ったのは外のバビットだったが、枠順の利を生かしたケイアイサンデラが内から加速してハナへ。加えて、外から続々と前に入られる展開になったことを、勝ち馬シュヴァリエローズの鞍上・北村友はこう振り返る。 「もう少し前めのポジションを取りに行く予定でしたが、1歩目を出てくれなくて…。ペースも速かったのであの位置に収まりました」 それでも、人気の一角サトノグランツと並走して、先団からは離れた5~6番手で気負うことなく脚をためた。馬群が凝縮し始めた勝負どころから徐々に加速。先に抜けたディープボンドとの差をジワジワ詰め、馬体を並びかけ、そして激しい叩き合いの末にアタマ差かわし、9度目の重賞挑戦にしてついに初タイトルをつかみ取った。 レース後、北村友、清水久調教師両者の口からは、ニュアンスこそ違えど、共通した言葉が。 「しぶとさもあり、らしさを出してくれると思いました。長距離を使うようになってから、安定して走れるようになりました」(北村友) 「しぶといですね。2000メートルでは折り合っているように見えて、タメが利いていなかった」(清水久師) 端的に言えば、路線変更が功を奏し、レース上がり35秒0の消耗戦こそがその得意パターンであったということだろう。 この勝利で天皇賞・秋への優先出走権を手にしたが「(レース)間隔もありますし、距離もありますし、馬の状態もありますので」(清水久師)と参戦の明言は避けた。そもそもメンバーにGⅠ勝ち馬はブローザホーンのみ。それもまったく競馬に参加できず最下位に終わったのだから、即GⅠ通用の裏付けを勝ち取ったとはいえまい。それでも…。鞍上が戦前に描いていた前走・目黒記念(2着)のようなしぶとく粘る競馬、そして今回、新たに見せたしぶとく差す競馬。派手さはなくとも6歳秋にして確かな武器を手に入れた今、GⅠの舞台でどれだけ戦えるかその答えを楽しみに待ちたい。
和田 慎司