予期せぬ失業への備えはいくら必要? お金のプロに聞きました。
非常事態が起きたときに、いくらかかる? 公的支援はある? ピンチをなんとか乗り切るために、知っておきたいことをファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに聞きました。
(CASE 1)脱サラ後、自営業がうまくいかず、 畳むことに。失業手当をもらうことはできますか?
【生活費1年分必要】 雇用保険に加入している人が失業した際に受け取れる基本手当、いわゆる失業手当。個人事業主は雇用保険に加入できないが、条件によっては失業手当を受給できる。 「給付が受けられるのは離職日翌日から1年以内ですが、法改正で2022年7月から、事業者には最大3年の期間延長が認められました。一度も受給しておらず、企業を退職後4年以内の廃業であれば、もらえる可能性が」。 国の支援策として、「住居確保給付金」も選択肢のひとつ。個人事業主が非常事態に対応するには、生活費の1~2年分の貯蓄を用意したい。
(CASE 2)健康上の理由で、退職します。すぐ働ける状態にありません。
【生活費6カ月分必要】 厚生労働省が発表している失業手当の給付要件には「積極的に就職しようとする意思があること」という文言が。そのため退職後もしばらく働けない場合、失業給付は受給できない。体調の問題で30日以上働けそうにない場合、体調が回復してから改めて給付が受けられるよう「受給期間延長の手続き」を。 「在職中から病気により休職している場合には、傷病手当金の支給も受けられます。ただ基本的には生活防衛資金として、会社員でひとり暮らしなら3~6カ月分、家族のいる人は6カ月~1年分の備えが必要とお伝えしています。とはいえ、病気の回復に時間がかかり、それで足りないときは、障害年金や生活保護の受給も視野に入れた検討が必要です」
(CASE 3)会社が倒産してしまい…。 予想外の出来事に動転しています。
【生活費3カ月分必要】 突然、収入が絶たれる会社の倒産による退職は、自己都合での退職より失業手当で手厚く補償される。ハローワークに離職票を提出して7日間の待機期間を経ると失業手当が給付されるため、生活費の3カ月分程度の備えがあれば、さしあたりの困窮は避けられる。給付額や日数は、雇用保険への加入期間や、倒産前6カ月分の給与額から算出され、5~8割程度の額が90~330日分給付されるのが目安。 ただし、誰でも給付されるわけではなく、6カ月以上の被保険者期間が必要。「賃金が支払われないまま退職した場合は『未払賃金立替払制度』もあります。未払い賃金の8割程度が支払われますので、最寄りの労働基準監督署に相談しましょう」