イエレン米財務長官、利回り上昇の背景を説明-退任後は古巣に復帰へ
(ブルームバーグ): イエレン米財務長官は、予想を上回る経済指標が金利見通しの再考を促し、米国債の売りにつながっているとの見方を示した。
イエレン長官は8日、経済専門局CNBCとのインタビューで、「統計が予想を上回り、予想外の景気上振れを示せば、金利の今後の道筋は予想よりもやや高くなるだろう」と語った。ここ数週間の米国債下落・利回り上昇の背景に関する質問に答えた。
8日の米国債市場で10年債利回りは4.73%前後と、昨年4月以来の高水準を付けた。金利先物市場では、2025年の利下げ見通しが後退している。
イエレン氏はまた、いわゆるタームプレミアムが「正常化し始めている」と述べた。これは、投資家が短期の投資を単にロールオーバーするのではなく、長期証券を購入するために一段の利回りを求めていることを示している。
同氏はタームプレミアムがしばらく「非常に低い水準」で推移していたと指摘。しかし、経済が好調である現在、上昇し始めていると述べた。
ディスインフレについては、過去数カ月はあまり進展が見られていないが、物価上昇率は低下傾向にあり、労働市場は物価上昇の要因ではないと確信していると語った。
「債券自警団」
イエレン氏はトランプ次期政権が財政赤字を「真剣に」受け止め、数十年前に起きたような「債券自警団」による攻撃が起こらないことを望むと述べた。数十年前には、公的債務の規模に対する懸念から、政府債務の購入に対して高い利回りが求められた。
イエレン氏は「債券自警団の再来を見たくはない。世界中の投資家は、米国が責任ある財政政策を実施し、市場の反応に頼らずに赤字を削減することを期待している」と話した。
トランプ次期大統領と財務長官候補のスコット・ベッセント氏は、赤字削減には歳出削減が有効だと考えているが、イエレン氏は国防費と給付金制度以外で大幅な削減余地があるのかについて疑問を呈した。「その計算がどのように機能するのか、私には理解できない」と続けた。