目指すは事実上の吸収合併?静岡大・日詰学長が一方的に合意を破棄したうえ浜松医大に“責任転嫁”
合意の一方的な白紙化を宣言
再任の決定にあたって会見を開いた日詰学長は「これまで総合大学として培ってきた教育研究成果を一層充実・発展させ、現状を変革し強い大学を築き上げていく。つまり、教職員が一丸となって力を合わせ、世界水準の大学を作る」と述べ、「そのためには静岡大学を再生していくことが不可欠」と宣言。 その上で、浜松医科大学との統合・再編問題について「合意書にある2つの地区大学に分割するのではなく、1つの総合大学として発展させていきたい」と言及した。 日詰学長によれば、自らが取り組まなければならないことは「議論に区切りをつける」ことであり、このため「合意書については年度内をめどに一度リセットする」という。 これは、合意書を白紙化させるとの意思表示でもあり、事実上の“吸収合併”を目指すとの決意の表れとも受け取れる。 会見の中で、日詰学長は「3年半、学内で議論してきた中で(自身が学長に)再任され、大学としての意思が示された」との見解を示し、「残念ながら、合意書通り地区ごとに大学再編を求める浜松医科大学には協議に応じてもらえなかった。このような状況の中で、これ以上協議しても上手くいかず、身動きが取れないばかりか(議論が)まとまる可能性も低い」と不満を口にしたが、これまでの経緯からわかる通り、議論を複雑化させているのは他でもない静岡大学側だ。
浜松医大側は静岡大学側に怒り
これには浜松医科大学の今野弘之 学長も「合意書の有効性を確認した日詰学長が、我々との協議がなされないまま合意書のリセットを記者会見で話されたことは大変遺憾。このような行為は大学間の信頼を根本的に毀損するものである」と怒りをあらわにし、両大学の統合・再編の早期実現を目指して自治体や経済団体で構成する期成同盟会の会長を務める浜松市の中野祐介 市長も「地域との協議や合意書とは異なる案の説明も一切なされないまま合意書のリセットを記者会見で話されたことは大変遺憾」と不快感を滲ませている。 また、静岡大学が本部を置く静岡市の難波喬司 市長も11月6日の定例会見で、「大学の自治の問題」と前置きしながら、「リセットということで白紙に戻ると思うが4年間の遅れはとんでもない遅れ。外部の競争的資金を取って、最先端の研究をしている人たちは頭を抱えているのではないかと思う。静岡大学には魅力ある大学のために何をすべきか早く議論を進めてほしい」と“要望”した。 合意書を締結した張本人であり、静岡大学の前学長である石井潔 氏はかつて、現在の日詰体制について「植民地を手放そうとしない帝国主義国によく似ている」と痛烈に非難したが、この過激な表現が適切かどうかは別として、統合・再編に期待していた人たちが同じような思いを抱いていることは間違いないだろう。
テレビ静岡