第10回ふくしま産業賞 福島民報社奨励賞 会沢高圧コンクリート(福島県浪江町) 自己治癒 革新の技術
ひび割れを自動で直す「自己治癒コンクリート」を手がけ、世界で初めて量産化に成功した。北海道苫小牧市に本社を置くが、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興に貢献しようと昨年6月、福島県浪江町に研究開発型生産拠点「福島RDMセンター」を新設した。 自己治癒コンクリートはコンクリート内にバクテリア(細菌)と、その餌を含ませる。ひび割れが起きると、割れ目から入った水と酸素で細菌の活動が活発化する。餌を食べると炭酸カルシウムという成分が生まれ、ひび割れを埋める仕組みだ。コンクリートの寿命が延びて修理・製造の回数を減らすことができ、人手不足の解消につながる。農業用水路や河川の整備などに活用されている。 浪江町と連携し、豪雨・津波防災支援システムも開発した。大地震発生時、町内に配備した大型ドローンが海岸の映像をリアルタイムで映し出し、迅速な避難を促す態勢を整えた。 今後は福島RDMセンターを拠点に米マサチューセッツ工科大と協力して蓄電コンクリートの社会実装を目指す。会沢祥弘社長(59)は「技術革新を起こし続け、浪江の地から福島の復興を発信する」と誓う。
■メモ ▽創業=1935(昭和10)年 (本社・北海道苫小牧市) ▽社長=会沢祥弘 ▽従業員数=45人 ▽住所=浪江町請戸字北迫1の3 ▽電話番号=0240(23)4391