「人質司法」深刻さ直視を マスコミ倫懇、能登地震も議論
新聞社や放送局などでつくるマスコミ倫理懇談会の第66回全国大会は3日午後、宇都宮市で分科会を開いた。罪を認めなければ捜査当局の拘束が長引く「人質司法」について、長期勾留を経験した当事者が講演し「深刻さを直視してほしい」と訴えた。 人質司法を考える分科会では、東京五輪・パラリンピックを巡り贈賄罪で起訴され、8日に初公判を控える出版大手KADOKAWAの角川歴彦前会長が登壇。約7カ月の勾留中、拘置所関係者から「あなたは死ぬまで出られない」と言われたと振り返り「絶望した。人質司法は変わらなければならない」と語った。 検察が犯罪かどうか疑義が生じたとして起訴を取り下げた「大川原化工機」(横浜市)の大川原正明社長は「メディアはこちらの言い分を聞かなかった。捜査される側も取材して」と批判した。 災害報道の分科会では、北國新聞社(金沢市)の宮本南吉編集局主幹が能登半島地震の発生時、被災地に向かう道路で起きた渋滞は記者らの車も一因だったと報告。派遣人数の制限など対策の必要性を問題提起した。