佐渡裕がトーンキュンストラー管の音楽監督退任 アップルミュージック音声ガイド案内人
指揮者、佐渡裕(63)が10年務めたオーストリアのトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督を今シーズンで退任する。来年6月、マーラーの交響曲第8番が最後の演奏会になる。また、佐渡はクラシック専門アプリ「アップルミュージッククラシカル」の音声ガイドの案内人を務める。「コロナのときは大変でしたが、トーンキュンストラーの10年は面白かった。ウィーン楽友協会での演奏会は大きな経験になりました。子供の頃、カラヤンが指揮する『運命』などを聴いてレコードが欲しくなりました。大事なのは音楽との出会いなのです。音声ガイドがそのきっかけになればいい」と話した。 ■今でもプレッシャー トーンキュンストラー管はウィーンを取り囲むオーストリア・ニーダーエスターライヒ州のオーケストラ。1907年にウィーン楽友協会で初めてのコンサートを行った。楽友協会のほか、州都のザンクト・ペルテン祝祭劇場など5つの活動拠点を持つ。13年にシェーンベルク初期の大作「グレの歌」を初演したことで音楽史に名前が残る。戦前は歴史的なヴィルヘルム・フルトベングラーが指揮者として活躍。戦後はファビオ・ルイージ、クリスティアン・ヤルヴィ、アンドレス・オロスコ=エストラーダらが首席指揮者を務めている。佐渡は2015年に就任した。後任は25年夏に就任するフランス人指揮者ファビアン・ガベル。 佐渡は1989年、フランス・ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。2010年までラムルー管弦楽団首席指揮者、国内では新日本フィルの音楽監督を務め、内外で活躍する。 トーンキュンストラー管の10年を振り返って、「ウィーンの聴衆の前で指揮することはプレッシャーがありました。ウィーンで活躍した音楽家たちを聴いている聴衆です。10年たった今でもプレッシャーがあります。楽友協会は世界のオーケストラがあこがれるホール。朝、昼、晩と違うオーケストラがコンサートをすることもあるのです」と話す。 トーンキュンストラー管とはマーラーの交響曲のライブCDを続々とリリースしている。2019年の第5番に始まって、今秋には昨年録音された第7番が発売された。第6番もすでに録音は済んでいる。