失意のパリ五輪 ザンダー・シャウフェレが“自分のいない表彰式”に見たもの
◇米国男子プレーオフ第1戦◇フェデックスセントジュード選手権 事前情報(13日)◇TPCサウスウィンド(テネシー州)◇7243yd(パー70) 【画像】見えてきた五輪ゴルフの“価値”とは ゴルフ史上初の五輪連覇の夢は確かに手中にあった。「東京五輪」金メダリストのザンダー・シャウフェレ(米国)は首位タイで迎えた「パリ五輪」の最終日にまさかの失速。PGAツアーのプレーオフシリーズ初戦を前に、9位に終わった当時の心境を明かした。 前半4番までに2バーディを奪った勢いは中盤にそがれた。8番(パー3)でボギーをたたくと、後半12番から2連続ボギー。表彰台が遠のいていく様子をシャウフェレは肌で感じていた。「金メダルから銀メダル、銅メダルと移り変わって…ああ、ついに見る側に回ってしまった…と。それが最後の7ホール、8ホールで起こったことだった。多くのファンがいたから、残念に思った」。コロナ禍での東京大会とは違う、大観衆の前で失望感が体を貫いた。 ホールアウト後は会場に残り表彰式の様子を眺めていたという。聞こえてきたのは、奇しくも3年前と同じ国歌・星条旗。「僕は家族席のようなところから見ていた。国旗が掲揚されてスコッティ(・シェフラー)が涙を流し始めると、自分に腹を立てていた僕は『これは本当に素晴らしいことだ』と思った。彼の勝利を誇りに思い、喜んだ。頭の中でハミングしながら、あの滅多に味わえない気持ちを味わった」と短い時間で様々な思いが何度も交錯した。 プレーオフシリーズは全選手に年間王者戴冠の可能性を提供しながら、早くも今シーズン6勝を挙げたシェフラーと、メジャーで2勝したシャウフェレの一騎打ちの様相を呈している。全3試合はそれぞれ初日、2日目はポイントランク順に2サムでプレー。さっそく2人は同組でティオフする。「いかにメンタルを休ませて、研ぎ澄ませることができるか考えてきた。この最後の3週間は精神面が最も重要」。場所とタイトルを変えたリベンジのチャンスがあるはずだ。(テネシー州メンフィス/桂川洋一)