【解説】能登半島地震から半年 いまだ地震活動活発、最新の状況は?地震の原因は"流体"?
■地震から半年、新しく分かったこととは?
こうした群発地震活動、その多くは火山の近くで発生するケースです。火山が近くにない能登半島でなぜ、こうした地震が続いているのでしょうか?地下深くでおきていることなので、根本的なメカニズムはいまだ解明されていませんが、地下にある"流体"が関係しているのではと、多くの専門家が指摘しています。この"流体"というのはマグマなどではなく、プレートからしみ出した水のようなものと考えられています。日本列島の下に沈み込んでいるプレートから出てきた水の流体が、地表に向かって上昇。この流体が断層を滑りやすくして、地震を誘発した可能性があるというのです。これは雨の日に、スリップしやすくなるようなイメージです。そして、能登半島の地下には複数の断層があると考えられていますが、その隙間に入り込んで流体が"移動”した可能性があるといわれています。
能登半島の群発地震の震源をみてみます。当初、地震は珠洲市のあたりで発生しました。その後西側で活動が活発となり、2021年半ば頃から北側に地震の震源が広がりました。このように震源が場所を変えて移動する状況は、流体による地震によくみられる現象だそうです。 能登半島地震では、海底にある複数の活断層が連動して発生したとみられています。その活断層の調査も進められています。海上保安庁が6月に公表した、測量船による海底地形調査の結果では、珠洲市の北側の海底で最大4メートルの隆起を確認したということです。4メートルというのは、過去の地震の例をみても、かなり規模の大きな隆起です。海上保安庁によりますと、今回の調査で隆起が確認された場所は、これまでに分かっている海底活断層の位置とおおむね一致しているということです。
■"流体”による地震、ほかの場所でおきる可能性は?
能登半島のように"流体"が関係した可能性のある地震は、ほかにあるのでしょうか。 少しメカニズムは異なりますが、例えば長野県の松代でも、1965年から70年にかけて5年以上地震活動が続きました。体に感じない地震も入れると、その地震の数はおよそ70万回。ほかに類をみない群発地震となりました。このときも、地下から上昇してきた水が影響したのではないかといわれています。松代の群発地震では、地震活動の末期に、地下から水が噴き出したことで農作物などにも被害が出ました。 それでは、"流体"が関係するような地震は、ほかの場所でも発生する可能性があるのか。 地震の専門家で、環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんは、能登半島で大量の流体がたまっていた場合、それは「プレートの沈み込んだ深さ、圧力などが関係しているのだろう」としています。