マラソンで完走を目指す人に教えたい「イメージトレーニング」の秘訣
ニューヨークシティマラソンは毎年11月に開催され、5万人以上の人が出場します。私は2023年大会に初めて出場してゴールしたとき、夢がかなったような気持ちになりました。 これは決して誇張ではありません。何カ月ものあいだ、ゴールする瞬間をイメージし、どんな気持ちになるだろうかと思い描いていたのです。 そして、42.195kmを実際に走り抜いたときは、繰り返し見る夢をまた見ているような、なじみ深い気持ちに。 ランナーがマラソンレースに向けて準備するときは、綿密な計画のもとに体を鍛えます。走り込みをし、最適な栄養を摂取し、持久力を徐々につけていきます。 ところが、レース当日のパフォーマンスを劇的に左右しうることでありながら、見落とされがちな重要ポイントがあります。 それはイメージトレーニングです。
イメージトレーニングのコツ
イメージトレーニングは、実質のない概念というわけではなく、科学的な裏付けのあるトレーニング方法です。 基本的には、頭の中でレースを最初から最後まで走ってみる予行練習で、来たるチャレンジに向けて、脳と体の用意を整えるために行ないます。 イメージトレーニングをきちんとした意図をもって行なうために、目を閉じて、レース当日を正確にイメージしましょう。ガイド付き瞑想アプリを使うのも一案です。 イメージするにあたっては、レース当日に感知できることをすべて思い浮かべましょう。朝のすがすがしい空気や、ウォーミングアップするランナーたちが立てる音、スタート地点に漂う、期待に満ちたざわめきなど、何もかもです。 レースを区間に分ける イメージトレーニングは、できるだけ具体的にしたほうがいいでしょう。私自身の過去のレースを振り返ると、次のような区間に分けてイメージするのがいいと思います。 序盤(スタート~15km地点) 無理なく安定したペースを保つ自分をイメージする。 規則正しい息遣いで走る自分を想像する。 効率的でコントロールされたフォームで走る自分を思い描く。 中盤(16km~32km地点) 困難な地形に差し掛かっても、うまく乗り切る自分を思い描く。 よりハードな段階に入っても、めげない自分をイメージする。 きついと思ったとき、心の中で自分にポジティブな言葉をかけるところを思い描く。 終盤(33km~ゴール) 内に秘めた強さを引き出す自分を想像する。 疲労感に襲われても走り続ける自分を思い描く。 完璧なフォームで、力強く確かな足取りでゴールする自分を思い浮かべる。 困難をイメージし、乗り切る自分をイメージ 心の準備をするときは、完璧なシナリオだけを思い描いてはいけません。次のようなつらく苦しい状況に陥っても、それをうまく切り抜ける自分をはっきりと思い描きましょう。 筋肉の疲労を感じたとき 天気が思いがけず変化したとき 自分は完走できないと思ったとき 身体的な不快感を覚えたとき 想定される困難をひとつひとつ取り上げ、自信をもってそれらを乗り越えていく自分を明確にイメージしましょう。 これだけでもしておきたい、ゴールのイメージ モチベーションのアップに圧倒的な効果を発揮するのは、ゴールの瞬間をイメージすることです。前述したレース各段階についてのイメージトレーニングを行なわない場合でも、せめてゴールの瞬間だけは想像しましょう。 ゴール直前のラストスパート 上昇する心拍数 声援を送る人たちの活気 しっかりとした力強い足取り ゴールした瞬間の爽快感 ゴールした瞬間の誇りや歓喜、夢のような達成感など、押し寄せてくる感情を思い浮かべましょう。