身近な野菜の”毒”も楽観視してはいけない? 野菜は大丈夫でも、エキスを濃縮したサプリには注意!
野菜や果物の摂取量が多い人ほど、がんにならない?
ところで、種々の化学物質に取り囲まれて生活をしているわれわれにとって、その物質の発がん性の有無は神経を使うところである。そこでエイムス試験という発がんの可能性を微生物で簡単にチェックする方法が開発された。開発者である生化学者、カリフォルニア大学バークレー校のエイムス名誉教授は、人が日常摂取している野菜の中に、この試験で陽性になる物質がどれくらい含まれているかを調べて報告している。 それによれば、リンゴ、ニンジン、セロリ、チェリー、ナス、ブドウ、レタス、梨、梅、バジル、ローズマリー、セージ、ゴマ、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、ケール、パセリ、カリフラワー、西洋ワサビなど、健康によいとされている野菜や果物でも、ほとんどすべてに発がん性物質が含まれているとある。それによって殺虫したり虫を寄せつけなくするためである。 エイムス教授は決して人類を恐怖に陥れようとか、野菜の摂取を控えるようにと忠告するためにデータを公表したのではない。彼はこの論文の要旨を、多くの植物がかなり危険な化学物質を含むが、食事でとるとしてもその量は少なすぎるので問題ない、と締めくくっている。 野菜には毒素以外に、‐カロテンやビタミンC、多くのポリフェノールなどが含まれている。だから発がん性物質が入っていたとしても、その作用を消滅させる能力も兼ね備えているのだ。実際に野菜や果物の摂取量が多い人ほど図が示すようにがんにならない、という報告は非常にたくさん存在する。したがって私もまったく問題にしなくてよいと考えている。 一方、一つ重要なことを思い出していただきたい。野菜として摂取するときにはこのように問題が少ない。けれども、健康食品として乾燥、抽出、濃縮などの操作を行って大量の野菜を一度に摂取するときには、少量だと無視できた毒素も問題になる可能性が十分にある。そこで、昔から健康によいとされている野菜であっても錠剤、カプセル、粉末、濃縮ジュースのような形で大量摂取する場合はそれなりの安全性の検証がされたものでないと、アマメシバのような健康被害が発生する。 続きは<「みるみる痩せる」は“死”に向かっているのと同じ! 危険すぎるダイエットサプリの真実>で公開中。
長村 洋一(一般社団法人日本食品安全協会代表理事)