大阪「売れても占い商店街」お金かけず黒字にできた理由
反響呼んだ「売れても今夜は占ナイト」
それから何年も試行錯誤が続く。くだんの喫茶店マスターも病気で…。ようやく1999年(平成11年)に法人化し、2001年(平成13年)に大阪市のコーディネーター派遣事業を活用し、占いを中心とした商店街として活性化に乗り出した。プロのコンサルタントの先生もついた。そしてアドバイスを受けながら翌2002年(平成14年)に占いイベント「売れても今夜は占ナイト」を実施したところ、大反響を呼んだという。 「平成13、14年頃というのはインターネットが当たり前になりつつある時で、公式サイトを持っている占い師の先生に直接声をかけたんです。そしたら、宣伝にもなるということで、『手弁当でも行くよ』って言ってくれる占い師がたくさん見つかった。運よく23人の占い師が来てくれた。そのイベントでは恐ろしい数の鑑定をみなさん、やってくれて。1日700人です。見料は500円でした。我々は1回こっきりと思ってたんやけども、最終的に占い師になりたい人が80人も応募してきて。メディアも紹介してくれて。何もかも初めてやったけど、独自性があったし、オンリーワンやったので、その後も続けることになった。今は189人の占い師の登録がある。占い商店街になってからは、売り上げは右肩下がりにはなっていない。もちろん13年もやっているとマンネリ化するので、いろんな企画を考えている」
お金をかけずに黒字の商店街に
また、こうも続ける。「当商店街にはハードはない。アーケードのない商店街やし、駐車場もない。ハードではなく、ソフトで勝負しているんです。地元の材料を生かしたイベントというのは、自然とみんなの意識が高まる。オリジナリティーが高いとメディアも取り上げてくれる。ハードを排してお金をかけずにソフトで勝負し、今は黒字の商店街になった。シャッター商店街という言葉が一時期流行ったけど、地域の宝や材料を生かし、それで企画を組んだら活性化できる。その成功例と言っていいでしょう。おかげで講演依頼も多いんですよ。商店街はこれまで助成金を意外と多くもらっていた。助成金頼みの商店街もあったと思う。でも、それだと、情熱が低くて続かない。(当商店街では)会議でも、少数意見を大事にしている。そんなんできるわけないやろ、というものは、当たったら大きいですから」 「売れても占い館」を常設し、鑑定料は2000円。占いデーは1000円だ。「今では年間6000人~7000人が訪れている」という。 現在は占い以外にも幅を広げ、来街者の増加を図っている。「なにわ商人体験」は府外の修学旅行生を対象に、地元の特産品を販売する商人体験学習だ。年間1000人の参加があるという。さらに商店街に飲食店が増加してきたこともあり、食の安全・安心、なにわの伝統野菜販売にも力を入れるなど、「オーガニックストリート」としても商店街を盛り上げている。