先生の長時間勤務対策、長野県教委が検討 事務合理化や部活指導員の任用も
長野県教委は教育現場の長時間勤務の解消を図るための「小中学校業務改善推進協議会」を2日開き、学校事務の合理化や教員の負担になっている部活動の指導体制の見直しについて具体策を検討しました。事務合理化では全県共通の合理化システムの導入で、転勤を伴う教員の負担軽減を図り、部活動では国の方針に沿って非常勤の指導員の導入で教員の負担を減らす方針などを提示。今後具体化に向けて全県で取り組むことになりました。 【写真】《安倍政権5年》大学力、道徳教科化 「教育再生」で現場はどう変わったか
会議の精選や部活動の分業化など提案
教育現場の長時間勤務の問題では、小中学校教員の組合である県教組も「深刻だ」として幅広い問題を取り上げていますが、今回の改善推進協議会の教育行政の側からのアプローチと合わせて、現場での対策がどう具体化するのかまだ見通しは不十分。長い間続いている慣習的な業務や教員への過重な期待への反省も求められるため、現場の教員と教育行政の協調による抜本的な取り組みが可能かどうかが成否を決めることになりそうです。 業務改善推進協議会は信州大学教職支援センターの荒井英治郎・准教授を座長に市町村の教育長、校長、県内経済人ら12人で構成し、この日は2回目の協議。県教組役員らがオブザーバーで出席しました。 協議会は、県教委が提示した「学校における働き方改革推進のための基本方針・案」を中心に論議。基本方針案は「文科省の調査によっても教職員の長時間勤務は看過できない状況」とし、長野県内では2017年度当初(4~5月)の1か月間1人当たり時間外勤務の平均が64時間程度、最も多い学校の平均は114時間となったことを報告。 現場の業務量はますます増える一方で、「前例踏襲」や「長時間、一生懸命頑張るのがよい教員という価値観」、「授業や学級経営が個(の教員)に委ねられている」といった文化が根付いているため改善が進みにくいという指摘もある――と問題点を挙げています。 このため改善策として、(1)業務の削減や分業化、協業化、(2)業務の効率化、合理化、(3)勤務時間を意識した働き方、の3点を軸に全県で一斉に取り組むとの方針を示しました。 具体的には(1)について、▽会議の精選、効率化、出張の縮減、▽各種調査、事務処理の縮減、▽部活指導員、スクールサポートスタッフの配置で分業を進める、▽学校や教員でなくてもできる業務については学校、家庭、地域などが連携して協業化する、などを提案。 (2)については、▽情報通信を活用した統合型校務支援システムの導入で教職員の勤務時間の管理などについて研究、▽システムの標準的な仕様を検討する、とし、(3)では▽年間を通じた全教職員の勤務時間の把握、▽部活動の休養日設定、朝の運動部活動は行わないなど適正化を図る、などとしています。 このほか学校の時間外の外部からの電話には留守番電話で対応することや、夏休みなど長期休業期間中に一定期間の「学校閉庁日」を設けたり、在宅などのテレワーク勤務の研究・実施、月2回以上の定時退勤日の実施なども提示しました。 また、全国でも問題になっている部活動指導の負担軽減については、国の方針にも沿って外部の「部活動指導員」の任用、配置などで現場の負担軽減を図るとし、そのための任用制度、、権限や責任の範囲、学校職員とするなど身分の確定、報酬などについて検討を急ぐことになりました。しかし、人材確保や任用基準などでいくつかの疑問点が指摘され、課題は山積です。