「ヘッドライトが眩しいクルマ」なぜ増えた? 信号待ちで「ライト消さない人」が多数派になった理由とは? ヘッドライトの“新常識”ってどんなもの?
対向車のライトが眩しいのは光量アップだけが理由じゃない!?
夜間にクルマを運転していると、対向車のヘッドライトが眩しいと感じることがあります。 LEDなどの普及にともない、ヘッドライト自体が明るくなったこともありますが、法規制の変更や技術の進化により、ヘッドライトの使い方が以前とは変わってきているというのも理由のひとつとされています。 【画像】「えっ…!」これがやっちゃダメな「クルマが痛むNG行為」です。(22枚)
2018年に、車検時のヘッドライトの検査方法がハイビームからロービームでの測定に変更され、2024年8月には「ロービーム計測が困難なクルマではハイビームで測定」という特例が廃止されました。 一見、夜間走行ではロービームが基本になったと受け取れる法改正ですが、実際には逆にハイビームを点灯して走るクルマが増えている印象を受けます。 これについて首都圏の教習所で指導員だったI氏は、次のように説明します。 「2017年の改正道路交通法の施行にあわせ国家公安委員会が告示する『交通の方法に関する教則』も改正されました。 これまでにはなかった『交通量の多い市街地などを通行しているときを除き、上向き(ハイビーム)』という文言が加えられたのです」 道交法には夜間走行時は前照灯をつけなければいけないとありますが、ハイビーム(走行用前照灯)もロービーム(すれ違い用前照灯)も「前照灯」という言葉が含まれるため法解釈的に少々曖昧さが残ります。 ですが、教則の改正により国が「ハイビームでの走行が基本」という“お墨付き”を与え、これにともない教習所の指導でもハイビームの使用を原則とするようになったそうです。 こうした経緯から、対向車のヘッドライトを眩しく感じるのは、ハイビーム走行のクルマが増加し、すれ違う際にロービームに切り替え忘れたというケースが増えたからではないかと推察されています。 夜間はずっとハイビームで走行して良いわけではなく、交通量の多い市街地を通行するときや対向車や前走車がいるときは、減光するか下向き(ロービーム)に切り替えなければいけません。 これはマナーではなく法で定められていることであり、遵守しなければ「減光等義務違反」などの交通違反の対象になり、悪質な場合は妨害運転(あおり運転)として罰せられる可能性があります。 あるいは、「オートハイビーム機能」や「アダプティブヘッドライト」搭載車で、速度超過や天候など何かしらの理由で対向車の検知が遅れ、照射範囲の切り替えのタイミングがズレてしまったことも考えられます。