「羽二重餅また食べたい」銀座の福井県ショップ活況…北陸新幹線延伸で来店16%増
東京・銀座にある福井県のアンテナショップ「ふくい食の國291」(東京都中央区)が活況だ。3月の北陸新幹線金沢―敦賀間の延伸開業で高まる注目を受け、来店者は昨年度よりも増加。県は来店から来県につなげたい考えだ。(川上大介) 【写真】店内には越前和紙などの伝統工芸品を扱うコーナーもある
アンテナショップは昨年2月にリニューアルオープン。羽二重餅や焼き鯖寿司など県ゆかりの約2000点を取り扱うほか、地下にはソースカツ丼やおろしそばなどご当地グルメを提供するイートインコーナーも設けている。 県などによると、新幹線延伸後の今年4~9月の来店者数は、前年同時期より16%多い約22万4000人で、売り上げは6%ほど増加。観光案内に関する問い合わせも2倍超の376件を記録した。 問い合わせ内容でも変化があった。県立恐竜博物館(勝山市)や景勝地・東尋坊(坂井市)、曹洞宗大本山永平寺(永平寺町)といった定番の観光名所に加え、延伸後に東京と乗り換えなしで結ばれるようになった敦賀市など嶺南地方の宿泊施設や交通手段を尋ねる人も多くなったという。
9月上旬に仕事帰りに初めて立ち寄った東京都世田谷区の派遣社員女性(55)はこれまで福井を訪れたことがなかったという。「東京から約3時間と身近になった。近いうちに福井に行ってみたい。今日は雰囲気だけでも味わえたらと思う」と店内を楽しんだ。 アンテナショップは1月以降、物産フェアやイベントを毎週行うなどPRに力を注いできた。大手通信事業者のデータを基にした県の推計によると、延伸開業後の約6か月間で越前たけふ駅をのぞく県内の新幹線駅周辺への関東圏からの来訪者が、前年同時期と比べて42%増えた。アンテナショップには、福井訪問を考える人だけでなく、福井旅行後に「もう一度、羽二重餅を食べたい」と立ち寄る人もいるという。 県の担当者は「情報発信に努め、東京での知名度向上につながっているのではないか」と分析。「アンテナショップで福井に興味を深めてもらい、一人でも多くの人に実際に足を運んでもらえれば」と力を込める。