【データで選出6月月間MVP】交流戦で大暴れの水谷瞬が12球団トップ。ノーヒットノーラン&月間防御率0.00の大瀬良大地はまさかのランク外
7月9日に大樹生命月間MVP賞が発表される。それに先立ちデータに主眼を置いた別角度からの評価で、6月に最も大きな貢献を果たしていた選手をチェックしたい。 【写真】故障さえなければ…歴代“ガラスの天才”5人
交流戦MVP・水谷を打撃では上回ったソフトバンク・近藤
評価にはWAR(Wins Above Replacement)を使う。WARとは打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価し、控えレベルの選手が同じだけ出場した場合に比べどれだけチームの勝利を積み上げたかを推測した指標だ。図中の打撃、走塁、守備のグラフは、それぞれどの分野で優れた働きを見せたかを表すWARの構成要素となっている。 まずは野手から見ていこう。パ・リーグでは水谷瞬(日本ハム)、セ・リーグでは丸佳浩(巨人)が、それぞれ1.72、1.20とトップのWARを記録した。 水谷は交流戦18試合で28安打、3本塁打を記録する大活躍を見せ、見事交流戦のMVPを獲得した。リーグ戦に戻ってからは少し失速気味だったが、6月は平均的な打者に比べチームの得点を9.9点も増やしたと評価されている。 ただ打撃単体で見るとこれを上回った選手がいる。近藤健介(ソフトバンク)だ。近藤はリーグの平均的な打者に比べ、チームの得点を13.8点増加させた。守備・走塁の評価で水谷にかわされたが、打撃におけるはたらきは圧倒的だったようだ。今季のプロ野球は歴史的な投高打低環境でプレーが行われているが、近藤だけは通常の得点環境におけるトップ打者クラスの打撃成績を残し続けている。 セ・リーグの打撃部門では、総合トップの丸を上回りタイラー・オースティン(DeNA)が2位以下を突き放している。オースティンは打撃でリーグの平均的な打者に比べ10.7点分得点を増やしたという評価を得た。チームメイトで総合2位の牧秀悟とあわせて余分に生み出した得点は15.3点。6月、貯金5と好調だったチームを打撃でけん引した。
ブランクを感じさせないロッテ・髙部。松本剛は中堅専念で高い守備力を発揮
守備評価には同じイニングを守った平均的な同ポジション選手と比較してどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)を使用する。しかしUZRは同ポジションの選手との守備を比較する指標であるため、異なるポジションの選手を比較する際はポジション間の補正を行う必要がある。一般的に高い守備力、もしくは独自性のあるスキルを要するポジション(遊撃手や二塁手、捕手など)を守った選手はプラスに補正をかけ、その逆のポジション(一塁手や左翼手など)はマイナスの補正をかけるといった具合だ。この守備位置補正をUZRに加えたものが守備貢献となる。 守備では髙部瑛斗(ロッテ)が優れたはたらきを見せている。6月は平均的な選手に比べ守備でチームの失点を2.7点防いだという評価だ。高部は2022年にゴールデン・グラブ賞を受賞したが、昨季は肩の故障によりシーズンをほぼ全休。一軍復帰が今季5月までずれ込むほどの長期離脱だった。それでも6月は守備に加え打撃でも打率/出塁率/長打率が.324/.377/.394の好成績。故障によるブランクを感じさせない活躍を見せていた。 ランキング外も含めた全選手を対象に守備を見ると日本ハムの松本剛がトップに。6月は平均的な選手に比べ6.2点もの失点を防いだという評価だ。松本は昨季まで両翼を守ることが多かったが、今季は中堅に専念。慣れないポジションにもかかわらず、広い守備範囲で失点の危機を救っているようだ。打撃がそれほど振るっていないため目立ちはしないが、ここまでのチームの躍進を支えている1人だ。