誤審を防ぐVARの導入はW杯サッカーをどう変えたか?
国際サッカー連盟(FIFA)によれば、グループリーグでは合計335件のプレーがチェック対象となり、そのうち17件でモニターによるプレーの見直しを実施。14件で主審による当初の判定が変更されたという。 ゴールか否かを瞬時に判断するゴールラインテクノロジーも、前回大会に引き続き採用されている。プレースピードが桁違いに速まっているなかで、生身の審判による判定をテクノロジーで補助することで誤審を減らし、試合の質を高める流れはますます加速していく。前出の水沼氏が続ける。 「課題を挙げるとすればVAR判定によってプレーが中断することで、それまでの流れやリズムが変わりかねない点となるが、はっきりとした判定が出るという考えのもとで、選手たちが集中力を途切れさせなければ問題はないのではないか。VARが導入された以上はPKを含めたゴールが増えるのは当然の流れで、どちらかに点が入れば戦略も変わってくるし、ある意味でよりスリリングになり、見ている側もサッカーをよりいい方向にとらえるかもしれない」 ベスト8が出そろった決勝トーナメントでは、スウェーデン代表対スイス代表の試合で、スウェーデンに与えられたPKがVAR判定で取り消された。負ければ終わりの緊張感がゴール前の攻防をさらに激化させ、VAR判定を必要とするシーンもさらに増えてくるかもしれない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)