仮想通貨16社が新団体 信頼回復へ「業界挙げて自主規制に取り組む」
仮想通貨交換業者の16社は2日、新しい業界団体を設立することで合意したと発表した。改正資金決済法に基づく認定自主規制協会で、自主規制違反をした業者に罰則を科すなどの強制力を持つ。コインチェックの巨額の仮想通貨流出などで信頼が揺らぐ中、業界の健全な発展を目指す。会見したマネーパートナーズの奥山泰全社長は「仮想通貨を利用する皆様から信頼され、安心して利用してもらえる環境を早期に整えるべく、業界を挙げて自主規制に取り組む」と語った。
セキュリティや過大広告規制など検討
同じく会見に出席したbitFlyerの加納裕三社長は「ブロックチェーンという新しい技術に基づく仮想通貨においては、既存の金融規制ではカバーできない技術的論点や懸念点が多く存在することに気付かざるを得なかった。金融機関としての統制、インターネット・セキュリティに細心の注意を払うことはもちろん、仮想通貨の技術についても業界団体の共通の基準を作り、高い水準で運用していくことが肝要」と述べた。 仮想通貨業界には現在、奥山社長が会長を務める「日本仮想通貨事業者協会」と、加納社長が代表理事の「日本ブロックチェーン協会」の2つの業界団体が存在するが、これらは新団体設立後も存続する。 新協会設立には、現在、金融庁に登録している16業者すべてが合意。マネーパートナーズとbitFlyerのほか、GMOコイン、テックビューロなどが参加する。現時点では、認定協会の名称や所在地、設立時期や認定申請時期は未定だが、これから登録を目指す事業者にも入会を募る。新団体の設置には、定款づくりや登記手続きなどで1か月程度はかかり、自主規制ルールをつくって運用するには、「何か月かかかる」(加納社長)見込みだという。 設立した団体が自主規制協会として金融庁に認定されると、自主規制ルールに違反した加盟社に対して調査や処分などの強制力を持つことになる。 これから取りまとめる自主規制の内容について、両氏は、仮想通貨交換業者「Zaif」などで問題になった技術的なセキュリティ面含む内部管理の強化や、ICO(仮想通貨を活用した資金調達)を含む取り扱い仮想通貨の線引き、過大広告の規制、顧客からの苦情対応などを優先事項として挙げた。 仮想通貨市場について、奥山社長はビットコインの乱高下などを例に「マネーゲーム的な様相がある」としたが、一方で「次世代につながっていくべき技術を支えているのが仮想通貨という認識。一過性のマネーゲームに終わってしまっては、業界や次世代のITのイノベーションはなし得ない」と述べ、仮想通貨に関するフレームワークをつくって信頼を回復していくことが大事だと強調。加納社長も「技術的イノベーションと規制のあり方を今後議論していく時では」との認識を示した。
《新団体に参加する16社》 ・株式会社 マネーパートナーズ ・QUOINE株式会社 ・株式会社 bitFlyer ・ビットバンク株式会社 ・SBI バーチャル・カレンシーズ株式会社 ・GMO コイン株式会社 ・ビットトレード株式会社 ・BTC ボックス株式会社 ・株式会社 ビットポイントジャパン ・株式会社 DMM Bitcoin ・株式会社ビットアルゴ取引所 ・エフ・ティ・ティ株式会社 ・株式会社 BITOCEAN ・株式会社フィスコ仮想通貨取引所 ・テックビューロ株式会社 ・株式会社 Xtheta