藤原竜也、四十代で「異常」なピュアさ!広瀬アリスのほうがお姉さんのように見えるシーンも/『ゼンケツ』最終回
芝居になるとがらりと変わる。まったく化ける俳優
テレビドラマで藤原の繊細キャラと言ったら、ミステリードラマ『リバース』(TBS系)がある。そこではコーヒーをいれるのが好きな実直な人物で、そこでもピュアな面を発揮していたのは2017年のことで、あれから7年も経過しているのだ。 興玉がやたらと芹田にコーヒーのデリバリーを頼んでいたのは『リバース』のオマージュだったのかも?というのはさておき、藤原はこれまでピュアキャラ売りではなかった。 『ゼンケツ』の放送開始前に行われた試写での会見では、共演者のひとりユースケ・サンタマリアに「ちょっと彼酔っぱらってます、テキーラを飲んでました」と冗談を言われるほどお酒の強いイメージにもかかわらず、芝居になるとがらりと変わる。まったく化ける俳優なのである。 正直、言えば、顔のコンディションがこんなに安定しない俳優も珍しい。『ゼンケツ』を見ていてそう思ったのだが、各場面での肌状態が全然違って見えても、ここぞというときの芝居の勢いが勝ってしまう。第9回では、小日向文世演じるゼンケツの局長・宇喜之民生こと宇迦之御魂神との対決シーンがあり、そこでの痛みや苦しみの表現の臨場感は図抜(ずぬ)けていた。 『ゼンケツ』の荒唐無稽で奇想天外な話しはそれはそれでとても面白いが、好き嫌いは大きく分かれると思う。非現実を扱ったドラマに興味のない視聴者もいるだろう。そんなとき、藤原竜也の醸し出す人間の感情の普遍性が、荒唐無稽さを覆い隠してしまう。 最終回の興玉には、神とか人間とか関係なく、もらい泣きしてしまいそうだった。 <文/木俣冬> 【木俣冬】 フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami
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