「行くべき旅先」に富山 米紙NYタイムズ52カ所選出 おわら、ガラス美術館紹介
●「文化的感動とグルメ」 米有力紙ニューヨーク・タイムズ電子版は7日、世界の旅行先で「2025年に行くべき52カ所」を発表し、日本から富山と、4月に大阪・関西万博の開幕を控える大阪を選んだ。越中八尾おわら風の盆や富山市ガラス美術館などを取り上げ、富山の魅力を「混雑を回避しながら文化的な感動とグルメを楽しめる」と評価。コロナ禍を経て、訪日外国人の誘致に本腰を入れる富山県の関係者は観光誘客の弾みになると喜んだ。 【写真】富山市ガラス美術館の内観を背景に「富山」のランキング入りを伝えるニューヨーク・タイムズ電子版 電子版では、胡弓(こきゅう)や三味線の哀愁を帯びた調べに合わせ、編みがさを目深にかぶった男女が優雅に舞う9月の風物詩「おわら風の盆」のほか、富山城近くの飲食店で味わえる料理の数々などを紹介。建築家の隈研吾氏が手掛け、現代ガラス芸術の拠点になっている「富山市ガラス美術館」については「木と光がそびえ立つ聖堂だ」と称賛した。 県民謡越中八尾おわら保存会の金厚有豊会長は「なり手不足の中、おわらに携わる人々の励みになる」と伝統継承の思いを新たにした。今年開館10周年を迎えるガラス美術館の土田ルリ子館長は「大変名誉なこと」とコメント。米コーニング・ガラス美術館との学術的協定などが、国内外からの評価につながったとの見方も示した。 ●藤井富山市長「名誉なこと」 8日に市役所で報道陣の取材に応じた藤井裕久富山市長は「喜ばしく、名誉なこと」と第一声。朝に新田八朗知事からの「おめでとう、選ばれたね」というメールで今回の選定を知ったとし「この機会に世界から富山、北陸を訪れていただき、(能登半島地震からの)能登の復興に向かっていければ大いに意味がある」と話した。 富山市の外国人宿泊者数は5万人余の2014年以降、右肩上がりに増え、ピークの18年は13万7806人に達した。コロナ禍の20~22年は各年1万人前後と低迷したが、23年は9万682人に回復。藤井市長は外国人誘客の追い風になると期待感を示し「県内全ての市町村のワンチームで取り組みたい」とも語った。 「2025年に行くべき52カ所」には、生誕250周年を迎える作家ジェーン・オースティンの出身地・英イングランド南部や、廃墟駅を高級ホテルに再生したカンフランク(スペイン)、古代石像物が国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産に認定されたアッサム(インド)なども選ばれた。 ニューヨーク・タイムズは「行くべき52カ所」で24年に山口、23年には盛岡と福岡を選出していた。